民俗学は「遺跡」に迫れるか 異分野の境界埋める挑戦

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編集委員・中村俊介
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 今に息づく庶民文化を扱う民俗学は、考古学が舞台にしてきた「遺跡」に、どうアプローチするべきか。異分野間の溝を埋める挑戦的な議論が、このほどオンライン上で繰り広げられた。

 民俗学の対象は伝承や神話、芸能、祭り、風習など様々だ。無形要素もあれば有形の民具もある。かつて柳田国男らが創設し、各地に伝わる昔話を古老から聞き取るフィールド調査を思い浮かべる人も多いだろう。

 最近は妖怪や都市伝説をめぐる論考も盛んだ。けれど、時間軸を必須とし、モノを扱う考古学とは性格が違うため、お互いの連携意識は薄かった。

 そんな民俗学が過去の痕跡である遺跡と、どう関わることができるのか。日本遺跡学会(事務局・奈良文化財研究所内)は3月、民俗・考古双方の研究者を招き、オンライン研究会「遺跡のなかの民俗学」を催した。

 「両者が別ものになったのは、そう古くない。前近代は混然一体だった。文化財保護制度がしっかりできた考古学と、それがない民俗学の間に格差が生まれた」

 角南(すなみ)聡一郎・神奈川大准教授は、そう言う。古墳の墳丘に神社のほこらが鎮座するのはよく見かけるし、旅する民俗学者、宮本常一は京都大の考古学研究室によく出入りしていた。

 「信仰が継続し、墓を暴いた…

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