11歳で早逝、妹が教えてくれた 広島の女性、絵本に

能登智彦
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 広島県呉市在住の臨床検査技師、松本淳子さん(47)が、わずか11歳で難病で亡くなった妹・祐子さんのことを絵本にした。タイトルは「生きているだけで素晴らしい」。体が弱り、寝たきりで何もできなくなっていく妹を見つめながら心に刻んだ思いをつづっている。

 ゆうちゃんは自由に動ける喜びを教えてくれます。友達と遊べる楽しさを教えてくれます。ご飯が食べられる幸せを教えてくれます。

 祐子さんは淳子さんの三つ年下で、6歳の時に「ニーマン・ピック病」という難病と診断され、病院と自宅の闘病生活に入った。遺伝子の異常で筋肉がこわばり、食べ物をうまくのみ込めない障害などが進む病気で約5年後に亡くなった。

 寝たきりで人工呼吸器などをつけ、何も出来なくなっていく姿を見つめながら、淳子さんは「妹は何の役にも立っていないのだろうか?」「こんな状態でも生きる意味はどこにあるのだろうか?」と考え続けた。淳子さんにとって妹は存在するだけでよかった。学校の友達に「妹の命は不必要ではない」と伝えたかったが、うまく説明できなかった。

 もどかしさを抱えたまま時が過ぎ、淳子さんは医療分野に進んだ。ニーマン・ピック病とも関連のある血液などの検査技師になり、多くの患者と接するようになった。

 妹の三十三回忌を迎えた昨年ごろから、当時の日々をつづり始めた。生きているだけで素晴らしいことや助け合う大切さなど、あの時周囲にうまく伝えられなかったことを文章にまとめた。子どもたちに手軽に読んでもらおうと思い、広島市のイラストレーター、みしまゆかりさんに絵を依頼し本にした。

 淳子さんは「ようやく心残りがなくなった。生産性や効率だけを求める社会は誰にとっても生きづらい。『自分は生きている価値がないのでは』と思うような人たちに、それは間違いだと、妹を通じて伝えたい。いつの世も弱者に温かい社会であってほしい」と話す。

 姉妹で通った広島市安佐南区の原南小に絵本を寄贈し、小児科病棟のある病院などへの寄贈も予定。A5判、1100円(税別)。問い合わせは、販売などは文芸社(03・5369・3060)、寄贈については淳子さん(090・9462・9304)へ。(能登智彦)