コロナと住まい 小川町バブル 強まる北上の流れ

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 夫婦で大学教員をする井上浩子さん(41)と根岸海馬さん(33)は、3歳の娘とともに15日、埼玉県小川町で一戸建てを借りて同県富士見市から移住した。同町で盛んな有機農法に関心がある根岸さんの「自然の中でのびのびと子育てがしたい」という希望で、1年ほど探した借家がやっとみつかった。井上さんは妊娠中で8月に第2子が生まれる予定だ。

 「小川町バブル」。地元不動産業者は、同町の住宅事情をこう表現する。移住希望者に、物件の供給が追いつかないためだ。

 同町移住サポートセンターによると、2016年度に同センターを利用して空き家や空き店舗を使い始めたのは10件だったが、今年度は43件に増えた。平均年齢は48歳から39歳に下がった。子育て世代の移住が増えたためだ。移住希望登録は今年度の新規で119件に上る。

 これとは別に、町が運営する空き家バンクは、16年度に開設して以来、25件の成約があったが、うち11件は今年度の成約だった。「在庫」は3軒しかない。バンクを運営する都市政策課は「コロナ禍で毎日のように問い合わせがある。移住だけでなく2拠点目を探す人もいる」という。

 同町下里の廃校になった小学校の分校でカフェ「モザート」を開いた有賀香織さん(45)も、昨年6月に都内から6歳の娘と移住した。都内で職場のパーティーなどを提供するケータリングをしていたが、新型コロナウイルスの影響で仕事が激減し、以前から交流があった同町への移住を決断した。

 「物件を探しにきて、店に寄る客も多い。もともと小川町が好きだった人たちが、コロナで本腰を入れているようです。県内の人が多い」と有賀さん。

 コロナ禍で埼玉県の転入超過は全国一になったが、県内でも東京から離れて「北上」する流れが強まっている。昨年10月から今年1月までで、川口市さいたま市の転出入を差し引くと、さいたま市が468人の転入超過で、前年同期の1・6倍だった。上尾市は172人で、同2・2倍だった。

 小川町はまだ転出が多いが、同町にエンジン工場を置くホンダは、隣の寄居町の工場に狭山市の完成車工場を集約するため、従業員らの移住も期待できる。町も、町内でテレワークができるよう、JRと東武東上線小川町駅に近い築100年になる大谷石造りの石蔵を、サテライトオフィスに改造する補助金を出した。運営するNPO法人「あかりえ」の谷口西(せ)欧(お)代表(44)は「移住者と地元の人が使えば、出会いから新たな仕事が生まれるかもしれない。仕事の合間に町の自然も体験してほしい」と話している。

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