トヨタにはできない車をつくる 改造EVで見る夢

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片山健志
【動画】寒冷地仕様EV「NEICLE-OKAMOCHI」が行く=片山健志撮影
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 3月3日、北海道南部の乙部町。白地にグリーンの鮮やかな小型車が、雪の残る海沿いの道を快走していた。トヨタ自動車の子会社の1人乗り超小型電気自動車(EV)を、北海道の中小企業8社が寒冷地仕様に改造した「NEICLE(ネイクル)-OKAMOCHI(オカモチ)」。ネイクルは「North Electrical Vehicle」の略称だ。コロナ禍で普及したフードデリバリーなどへの参入を目指し、高齢者宅への弁当配達の試験走行だった。

拡大する写真・図版白亜の断崖で知られる名所「館の岬」のトンネルに向かう「ネイクル オカモチ」=2021年3月3日午前11時35分、北海道乙部町

 最高速度は時速50キロほどで、1回充電すると40~50キロ走れる。「オカモチ」の名の通り、車体後部には料理の配達バッグなどを取り付ける部材が付いている。2020年11月に札幌市であった「ビジネスEXPO」に出展後、実用を想定した試走は初めてだ。

 10キロほど離れた地域まで弁当を運ぶと、バッテリー容量が予想を上回って半分以下に減っていた。もう1軒回る予定をあきらめ、事業所に引き返した。「長い上り坂でアクセルを踏み込み続けた結果、消耗した可能性がある」と開発にあたる「Will-E」(ウィルイー、札幌市白石区)社長の根本英希さん(56)。「起伏のある地域でも使うことを考え、改良の余地がある」と話した。

 視察に訪れた乙部町の寺島努町長も運転を体験した。「安定性があって、操作も簡単でわかりやすかった。町外客の観光に活用できるかもしれない」と導入の可能性に触れた。

 寒冷地EVづくりのプロジェクトが始まったのは13年。道内製造業の活性化をねらい、中小企業基盤整備機構の呼びかけで、北海道発EV研究開発・利活用研究会(Team NEVS(ネブス))が発足した。現在は8社が参加する。

拡大する写真・図版高齢者宅に届ける弁当のバッグを荷台に固定し出発準備完了=2021年3月3日午前11時27分、北海道乙部町

 配達バッグを荷台に固定する金物を設計・製作したのは倉本鉄工所(北見市)。倉本真社長は「お客様でも後付け可能なようにシンプルな構造にした」と工夫を語る。デザインとラッピングは、屋外広告などのフィールド・クラブ(北広島市)が担当した。

雪も押しのけて走れる仕様に

 「オカモチ」では採用していないが、雪を押しのけながら走れるよう、ベースとしたトヨタ車体の超小型EV「コムス」のトルクを20%上げるオプションを設けた。そのためにギアボックスを外して図面におこし、新たなギアを設計して組みこむ作業を担ったのがウィルイーだ。ギアは西野製作所(室蘭市)が製造した。過去には、天井に断熱性の高い住宅建設を手がける福地建装(北斗市)の断熱材を使ったモデルも発表した。

 元々はEVをゼロから開発す…

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