「パパが捕れない球を」 息子の思いに父「とっくに…」

近藤咲子
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(25日、選抜高校野球 仙台育英13-5神戸国際大付)

 先発を任された仙台育英の松田隆之介君(3年)はマウンドで緊張していた。この日が初めての甲子園。観客の視線が集まる。

 140キロ超の速球を低めに集め、2者連続の三振。3人目を邪飛に打ち取ると、スタンドから拍手がわき上がった。

 「初回からとばそう」と決めていた。冬に足腰を鍛えて球威をあげた。その成果を見てほしい相手がいた。

 父、尚之さん(46)。仙台三の元投手で、幼い頃から自宅そばの道路でキャッチボールをするのが日課だった。

 父の投げる球は、いつも構えたところに返ってくるし、のびもある。小学3年の時、父が遠投大会で見せたフォームには力みがなく、きれいだった。「パパが捕れなくなるような球を投げたい」。その一心で練習を続けた。あこがれだった。

 この日、松田君は六回までに93球を投げ、被安打3失点1の好投。「(父を)超えられたという手応えがあった」と振り返った。

 三塁側のスタンドから見守っていた尚之さん。試合後に感想を問うと、「とっくに超されてるんですよ。中学を卒業するころには球を捕るのがしんどくて。自分より数段上の投手だから」とはにかんだ。(近藤咲子)