東北新社の違法状態いつ認識? 外資規制、民放局は対策

藤田知也 田中恭太
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 総務省幹部らを接待していた東北新社による外資規制違反では、総務省の審査のずさんさも露呈した。今後の焦点は、東北新社が以前から把握していた「違法性」を総務省にいつ伝えていたか。外資規制は民放局にとっても切実な課題だ。

 「本件は最初に検証に着手する方針と伺っている」。武田良太総務相は26日の記者会見でそう言及した。「本件」とは、東北新社が認識していた「違法性」が総務省側にいつ伝えられたかだ。16日設置の検証委員会で詳しく調べる。

 今回の取り消しは、「認定・申請時」の違法状態が理由だ。接待問題に端を発した国会審議を機に調べ直したところ、2016年の申請時の外資比率(議決権ベース)が規制の2割を超え、認定できない欠格事由があったと判明。総務省の審査も甘かったが、取り消しは避けられなかった。

 ただ、問題はこれで解決とはいかない。東北新社の説明では、申請時は気づかなかった違法性を、認定後の17年8月に把握。「なんとか違法状態を治癒できる」(中島信也社長)と考え、子会社に認定を承継させたとしている。

 放送法では、認定後でも外資比率が2割以上になれば、認定を取り消さなければならない。東北新社総務省幹部に違法性の認識を伝えたうえで、子会社への承継を進めたと主張。事実なら大問題だが、名指しされた総務省幹部は「報告を受けた記憶は全くない」と反論している。検証委の調査の行方が注目される。(藤田知也)

民放は外資「2割未満」を維持

 東北新社子会社の衛星放送の認定が取り消されたのは、議決権を持つ外資比率が2割以上となると放送を行えないとする放送法の規制に違反していたからだ。この外資規制地上波を放送するテレビ局や、その持ち株会社にも適用される。日本テレビホールディングスや、フジテレビを傘下に持つフジ・メディア・ホールディングスは外資比率が2割以上だが、これは議決権を持たない株主も含んだ割合だ。

 放送法は、外国人が株を取得することで外資比率が2割以上になる場合、こうした外国人株主の株主名簿への記載を拒否できるとも規定。外国人株主の議決権を制限できる仕組みになっている。株式市場での資金調達を可能にしつつ、外資による番組作りなどへの影響力を抑えることを狙いとしたものだ。

 日テレHDやフジHDはこの規定を使って外資の議決権比率を2割未満に維持。有価証券報告書などでは、名簿記載を拒否した株式の数を明らかにしている。

 記載拒否は、衛星放送事業者も行使できる。東北新社は外資比率が20%を超えていることに気付かなかったために、拒否権を使わなかった可能性がある。田中恭太