「田中将大の9億円、高くない」凱旋いつ?熱狂の地元は

室田賢
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 大リーグから8年ぶりに東北楽天ゴールデンイーグルスに戻った田中将大投手(32)は、開幕2戦目の27日に予定していた凱旋(がいせん)登板をけがのため回避することになった。それでも、2013年の日本一の立役者とあって関連グッズは飛ぶように売れ、「マー君フィーバー」が起こっている。(室田賢)

 今年1月に田中投手の復帰が決まると、楽天球団は「マー君クラブ」を立ち上げた。選手個人のファンクラブは球団初の試みで、主催試合で田中投手が勝ったとき、オンラインイベントに参加できるなどの特典がある。年会費1万8千円で1千人を募集したところ、2時間ほどで完売した。

 さらに、年会費180万円で10人限定の「マー君クラブVIP」も用意した。直筆サイン入りユニホームなどのグッズをもらえるが、わずか14分で完売した。担当者は「まさかのスピード完売でびっくりしています」。

 関連グッズも大盛況だ。ユニホームやタオルなど約20種類を用意し、売り上げはすでに1億円を超えたという。MD・コンセッション部の渡辺誉志部長は「年間の売り上げで億を超える選手はいても、開幕前の短期間で達成するのは異例のこと」と目を見張る。28日までの開幕3連戦ではタオル(税込み1200円)を異例の3万枚用意する予定だ。2019年に加入した浅村栄斗選手のタオルは年間1万5千枚を売り上げた。大胆な販売戦略だが、渡辺部長は「田中選手の人気なら勝負できる」。

 チケット販売も好調だ。観客動員はコロナ禍のため昨季同様に制限がかかる。今季は本拠試合の半数にあたる36試合を観戦できる「ハーフシーズンシート」を12万~150万円の価格帯で計20種類売り出すと、今月中旬にすべて売り切れた。年間のシーズンチケットとは単純に比べられないが、球団史上最速の完売という。

 球団は開幕にむけ、仙台駅から球場までの歩道に「マー君おかえりフラッグ」などを掲げるため、クラウドファンディングで250万円を目標に呼びかけた。1日で達成し、24日時点で800万円を突破したため、仙台市営地下鉄の車内中づり広告にも「おかえりボード」を張り出した。

 関西大学の宮本勝浩名誉教授(理論経済学)は、田中投手の復帰による宮城県への経済効果について年間約57億1700万円をもたらすと試算した。宮本名誉教授は「田中選手の推定年俸9億円は決して高いものではなく、地元に非常に大きな経済効果をもたらすことがわかる」と見ている。

「世界の中心はここだと思った」

 右ふくらはぎを痛めた田中投手は実戦復帰まで3週間かかる見込みだが、登板を心待ちにしている人がいる。2013年から本拠球場で場内アナウンスを担当する千葉マサトさんだ。「いつか帰ってきてほしいと思っていたが、こんなに早くなるとは」。その年の日本シリーズ第7戦の九回、救援した田中投手の名前を呼び上げると球場が大歓声に包まれた。「世界の中心はここだと思った」

 今年は東日本大震災から10年。田中投手は入団会見で節目の年での復帰を「意味のあるタイミング」と話した。秋田県出身の千葉さんは「東北をちゃんと意識して帰ってきてくれた。13年は一つの最高到達点。あれ以上の感動と興奮を味わいたい」。けがを治して登板するときが来れば、気を引き締めて名前を呼び上げるつもりだ。