消防車を運転できない団員が増加 一体なぜ?現場の苦悩

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岩田誠司
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 消防団員なのに、消防車を運転できない――。そんな団員が各地で増えつつある。運転免許証の区分が変更され、普通免許で運転できる車両総重量が3・5トン未満になったためだ。新たな免許を団員に取得してもらうか、軽量で装備を絞った消防車に買い替えるか。自治体も現場も悩む。

 福岡県春日市で3月7日、市内五つの消防団が参加して防災訓練が開かれた。各団が配備されている消防ポンプ車(総重量約7トン)を川沿いにまわしてホースを川に下ろし、放水する手順を確認した。

 南分団からは7人が参加した。だが、このうち4人は運転できない団員だという。団員は全部で20人いるが、運転できるのは7人。分団長の小泉博之さん(37)は「火災発生を知って若い団員が詰め所に駆けつけても、運転できる団員がおらず現場に出動できないことがある」と話す。

 普通免許で運転できる車の総重量は、2007年6月2日以降の取得者は8トン未満から5トン未満に、17年3月12日以降の取得者は3・5トン未満になった。一定以上の大きさの車の運転手に高い技能を求めることで事故を減らすことなどが目的だった。消防団でこれまで使われてきた消防ポンプ車の主流は4~7トン程度。これを運転するには準中型免許が必要だが、消防団は会社員や自営業者ら地元住人で構成され、多くは普通免許しか持っていない。このため、若い団員に消防車両を運転できない人が増えている。

 総務省消防庁の調査では、普通免許で3・5トン未満しか運転できない消防団員の割合は、昨年2月1日時点で全体の1・4%。これに加えて5トン未満のみの団員もいるため、消防車を運転できない団員はさらに多い可能性がある。

 春日市によると、市内の消防団員約100人の4割ほどが、団の消防車両を運転できないという。市は、消防車両の更新時期を迎える南分団に、普通免許で運転できる3・5トン未満の消防ポンプ車を配備することを決めた。

 新車両は、17年の免許区分変更の翌年に消防車メーカーのモリタ(兵庫県三田市)が発売したものだ。普通免許で運転できる国内唯一の消防ポンプ車で、1分あたりの放水量などポンプ性能は従来の車両と変わらないという。ただ、小型になる分、装備は「必要最低限」になる。

 春日市の場合、新車両には、消防車が入れない川べりや狭い路地などに人力で持ち運んで水をくみ上げる可搬型ポンプの搭載や、少量の水で消火できる放水装置の配備を見送った。

必要な機能を備えつつ軽い消防ポンプ車をつくるにはどうすれば良いのか。記事後半ではそうした取り組みを始めたメーカーの奮闘もお伝えします。

 市町村によっては、現行車両を運転できるようにするために、新たな免許取得の補助制度を導入したところもある。総務省消防庁によると、昨年4月1日時点で補助制度を導入した自治体は全国で211。国は18年度から、消防団員が準中型免許を取得するために自治体が負担した費用の半分を、特別交付税で補助している。担当者は「普通免許で運転できる車両の普及と免許取得の双方を進めていってもらいたい」と話す。

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