60歳の漁師は若手扱い 銀行も農協も消える土地のいま

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高橋杏璃、曽田幹東
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 社会的課題を語るとき、「人口減少」が上位に出てくるようになって久しい。そして秋田はその「先進地」として語られる。変化は足元で、ゆっくりと、しかし確実に進んでいる。現在地を見つめ、将来の姿を想像し、今できることを考える。

 3月8日、穏やかな海が広がる秋田県男鹿市北浦の港内で、鎌田巌さん(73)は、朝とれたばかりのマガレイをさばいていた。

 体を壊して船に乗れなくなったが、85歳と56歳の親子が乗る船の陸(おか)作業を手伝い、自分や近所の人が食べる分の魚を時折もらっている。

 鎌田さんが中学生だったころ、港には飲み屋が立ち並び、日暮れになると酔っ払った漁師でにぎわった。「おれなんか、おっかねえし来られなかったんだ」

 いま、若い漁師はほとんどいない。60歳で若手扱いだ。若者は働く場を求めて県外に出て行き、いつしか65歳以上の高齢者が地域の6割を占めるようになった。

 港に往時のにぎわいはない。JAの支店は今月で営業を終え、地銀の出張所も5月になくなる。「銀行も農協もなくなるし、へばなんとなる(そうなったらどうすればいい)」

半世紀で7割の人がいなくなった

 秋田の人口減少のペースは全国で最も早い。その速度は市街地よりそこから離れた集落でさらに大きい。

 集落の過疎化に関心を寄せ…

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