中国、中東取り込みへ イランと連携「米国は顧みない」

有料会員記事

北京=高田正幸、テヘラン=飯島健太、ワシントン=園田耕司 聞き手・園田耕司
[PR]

 米中対立についてバイデン政権が「民主主義と専制主義」という国家体制間の競争との認識を示すなか、中国が中東の地域大国イランと25年に及ぶ包括的な戦略協定を結んだ。中東で米国の存在感が薄まることで生じた「空白」に、中国が経済力をテコに根を張る構図だ。米中の覇権争いが、世界を巻き込んで一段と深まろうとしている。(北京=高田正幸、テヘラン=飯島健太、ワシントン=園田耕司)

 イランの暦で新年の休暇が明けた直後の27日、ロハニ大統領はテヘランで王毅(ワンイー)国務委員兼外相を迎えた。

 中国外務省によると、王氏は米国の対イラン制裁への反対を表明し、「外部の干渉が地域情勢に与えるあしき影響について真剣に考える時だ」と語りかけた。その上で、今回の中東歴訪で掲げる「中東地域の安全と安定の実現に向けた五つの提案」に言及。「地域の国々が主人公としての態度を保ち、地政学的な干渉から脱却し、各国の国情に合った発展の道を歩もうという呼びかけだ」と続けた。

 バイデン大統領が25日、米中対立を「民主主義国家と専制主義国家の闘い」と表現し、争点は体制間の争いに発展した。しかし、中国側にひるむ気配はなく、王氏は24日からの中東6カ国歴訪で公然と関係諸国の取り込みを進めている。

 そのハイライトが、イランとの25年間の戦略協定だった。具体的な内容は明らかにされていないが、イラン政府によると、協定は安全保障や原油や港湾、情報通信などをめぐる協力を列挙。米メディアによると、中国がインフラ整備に25年で約4千億ドル(約44兆円)を投じる見返りに、イランは低価格で中国に原油を提供する。軍事訓練や兵器開発などの協力も含む。

 中国の巨大経済圏構想「一帯一路」にとってイランは中央アジアと欧州を結ぶ要衝だ。中東情勢の鍵を握る大国との関係強化は、米欧などと競合していく上でも大きな意味を持つ。

 双方は2016年の首脳会談以来、協定締結に向け調整を始めたが、米国などを刺激するため進展は慎重だった。しかし、ロハニ政権は昨年6月、協定の草案を閣議承認。イラン外務省によると、中国側は約2週間前に今回の訪問で署名したいと伝えてきたという。

 中国政府系シンクタンク研究者は「以前は米国の意向を気にする声もあったが、米国の対中姿勢は悪化の一途。もう米国を顧みないというシグナルだ」と語る。

行き詰まる核交渉、イランは経済制裁で疲弊

 「世界的、地域的、相互的な…

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら