夜間中学の歴史 生徒の思い伝える 御所市で企画展

清水謙司
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 学ぶこと、それは生きること。夜間中学をテーマにした企画展が、奈良県御所市の水平社博物館で開催中だ。奈良も含めた夜間中学の歴史や学ぶ人たちの思いを丹念に伝えている。29日休館、4月4日まで。大人500円、中・高校生300円、小学生200円。

 夜間中学は正式には中学校夜間学級という。戦争の混乱や貧困、不登校などで義務教育を十分に受けることが出来なかった人や、外国人の住民たちが通う。

 企画展はそんな学びの場を守ることの大切さを説く。1966年、当時の行政管理庁が廃止を勧告。義務教育を終えていない人が一人でもいる限り、夜間中学は必要だ――。怒りを覚えた東京の夜間中学卒業生・高野雅夫氏が、抗議活動で全国を行脚したことを詳しく紹介。「廃止反対」などと書かれた上着、ビラまきなどのときに使った「すべての人達に完全な義務教育を」などと訴えた幕……。本人所蔵の数々の資料は、尊い「闘い」の姿や歴史を今に伝える。いま、公立夜間中学は10都府県に34校あるが近畿圏や首都圏が中心。国は各都道府県に少なくとも1校は設けることを目指す。

 奈良の夜間中学の成り立ちも丁寧に伝えている。1925年、昼の中学に通えない子どもたちの夜間部として、奈良市に南都正強中学が設けられたのがルーツという。戦後の運動を経て、現在は奈良、天理、橿原の各市に三つの公立夜間中学がある。西和、宇陀、吉野の3地域で「自主夜間中学」の活動が続けられていることも紹介している。

 会場には、そこで学んできた人たちが「夢」を書いた色紙も並ぶ。日本に読み書きができない人が一人もいなくなること――。橿原市の夜間中学、市立畝傍中学校夜間学級の布川順子さん(60)は色紙にそう書いた。韓国で生まれ育ち、若くして日本人と結婚。日本で暮らし、働き、子育てを頑張る中、勉強がしたいという思いが強くなり、夜間中学へ。「本が読めて理解できることがうれしい」と言う。

 同学級最年長の西田正江さん(93)は、75年越しの中学入学。小学生の頃から妹のお守りや家事手伝いが忙しく、6年からは工場で働いた。色紙には力強くきれいな字で、「生涯前進 生涯挑戦」と記していた。

 外国の人たちや働き盛りの世代も多く学ぶのも同学級の特徴。目取真ジャンディさん(19)はペルーから来日し、清掃業の仕事に就いた。日本語を上手に話せて、書けるようになって、家族を支えたい。それがいまの目標だ。

 夜間中学や自主夜間中学で学びたい人は、住んでいる市町村の教育委員会や、県教委学校教育課などで問い合わせを受けている。(清水謙司)