農家と消費者を結ぶ「シェア冷蔵庫」の実証実験 愛知

鈴木裕
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 地域の野菜生産者と買い物困難地域の消費者を結び、規格外の野菜を販売する「シェア冷蔵庫」の実証実験が愛知県日進市の三ケ峯台地区であった。主催したのは、20代のエンジニアたちが起業した「どんぐりピット合同会社」。スマートフォンで予約や決済ができるシステムを開発し、常設のシェア冷蔵庫を市内各地に展開することをめざす。

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 三ケ峯台地区は近くにスーパーがなく、高齢者が歩いて日常の買い物に行くのが困難な、古い分譲住宅地。三ケ峯台集会所で3月20日にあった実証実験は、事前に予約した利用者がシェア冷蔵庫のカメラにQRコードをかざしてロックを解除し、トマトや青菜などが入った野菜セットを受け取る仕組み。規格外でスーパーなどに出荷しない野菜を地元の生産者から同社が買い取り、1セット300円で販売した。実証実験は4月3日にも予定している。

 どんぐりピットは、大手自動車メーカーなどに勤めるシステム系のエンジニアたちが、フードロス「ゼロ」をめざして立ち上げたベンチャー企業。2月から三ケ峯台集会所で、地元産の規格外野菜の移動販売を続けてきた。

 シェア冷蔵庫は、規格外野菜の流通をさらに進めるため、生産者と消費者を直接つなげるプラットホームをつくるのが狙いだ。鶴田彩乃代表は「実証実験では会社が買い取った野菜を販売しているが、シェア冷蔵庫はインターネットでつないで、いつ、だれが出荷し、購入したかを把握できるようにし、直接、売買してもらう」と説明する。

 スマホで野菜の出荷状況の確認や購入予約、受け取りの管理、決済ができるようになれば、宅配ボックスのように使うことも可能になる。掲げるのは「コンビニよりコンビニエント(便利)な地域の冷蔵庫」だ。

 地域の野菜生産者の関心も高く、実証実験を視察した松山重治さんは「野菜を作っても、販売するところがなかったり規格外になったりすると結局、もったいないことになってしまう。販売の窓口が広がるのは歓迎だ」と話す。

 同社の実証実験に協力した三ケ峯台自治会の関係者は「近くにスーパーがない三ケ峯台地区にとって、シェア冷蔵庫は問題解決につながる試みだ」と期待する。

 鶴田代表は「常設のシェア冷蔵庫を市内各地に展開することで、フードロスの削減や地産地消の推進だけでなく、地域のコミュニティーの構築にもつながる」と話している。(鈴木裕)