照ノ富士、鍛え直した下半身 横綱へ、第2章始まる

波戸健一
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 千秋楽の一番に、照ノ富士の進化の跡が刻まれていた。

 立ち合いは貴景勝の右腕をたぐろうとしたが、失敗。突き押しの大関を呼び込んでしまい、土俵際に追い込まれた。ただ、ここからが冷静だった。相手の右ひじを丁寧におっつけて反撃へ。「一生懸命にやるだけだった」。体をぶつけて前に出て、貴景勝を土俵下まで吹っ飛ばした。

 6年前、恵まれた体格とパワーで大関まで駆け上がった。だが、相手を力任せにつり上げたり、振り回すように投げたり、荒々しい相撲でひざが壊れた。序二段まで転落。落ちるところまで落ち、自分の体と相撲に向き合った。新弟子の気持ちで下半身を鍛え直し、強引な相撲を反省した。

 今場所は10日目の志摩ノ海戦で古傷があるひざを負傷し、手負いの状態で終盤戦に入った。それでも13日目は鋭い出足で正代に完勝し、14日目は粘る朝乃山を理詰めの攻めで攻略。アクシデントを平然と受け止めて、3大関から白星を積み上げた精神力も光る。

 苦労を見てきた部屋付きの安治川親方(元関脇安美錦)は言う。「前は集中力が切れちゃうことがあった。今は勝っても負けても気持ちのぶれがない。1日1日を大事にしている」

 来場所は36歳の白鵬が一人横綱になる。3大関を破っての優勝を見れば、次の横綱候補の筆頭といえそうだ。「良い姿を見せられるように頑張りたい」という照ノ富士の復活劇は、ここから第2章が始まる。(波戸健一)