野村HD巨額損失か 米子会社で請求額2200億円取引

吉田拓史、ニューヨーク=真海喬生
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 証券最大手の野村ホールディングス(HD)が米国で巨額損失発生の可能性があると29日に発表し、同社株は売り注文が殺到して前週末終値より約16%も下落した。損失額は未定として公表していないが、直近26日時点の市場価格でみて最大で約20億ドル(約2200億円)規模になるという。

 野村HDによると、米国の子会社と大口顧客との取引で損失が発生し、20億ドルを顧客へ請求する事態になったという。顧客名や取引内容を明らかにしていないが、最悪の場合は全額回収できなくなる。取引に関連して持つ有価証券の売却状況や市場価格の変動で請求額は変わる可能性があり、業績への影響がわかり次第公表する予定。これを受け、23日に条件を決めた米ドル建て普通社債32億5千万ドル(約3575億円)の発行見送りも決めた。発行は今後の業績を見たうえで改めて考えるという。

 業界のアナリストは「先週、米国のある投資家が行き詰まり、野村の損失はこの影響ではないか」とみる。投資家の資産を現金化するため、大量の株式の一括売却があったとみられるという。米株式市場はこの影響で、一部メディア企業などの株が急落している。

 野村HDは業績予想を出していないが、SMBC日興証券の予想によると、2021年3月期の純利益は4208億円。2200億円の損失が発生した場合、1700億円程度まで落ち込む可能性があるという。

 スイスの金融大手クレディ・スイス・グループも29日、「現時点で正確な損失額を定量化するのは時期尚早」としたうえで、第1四半期の業績に「非常に重要」な影響を与えそうだと巨額損失の可能性を発表した。(吉田拓史、ニューヨーク=真海喬生)

 野村ホールディングスは29日、米国にある子会社で、顧客との取引に起因して多額の損害が生じる可能性のある事案が起きたと発表した。この顧客に対する請求額は26日の市場価格に基づく試算で約20億ドル(約2200億円)。業績に与える影響が判明次第、詳細を公表するとしている。

 同社は、財務健全性に関する規制の水準は大幅に上回っており、米国での業務遂行などに問題はないとしている。