会えないコロナ禍どう生きる 日中大学生たちのネット論

小早川遥平、笠原真
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 日本と中国の大学生が両国間の課題や身近なテーマについて議論する「第3回日中大学生対話」(日中友好会館、中国日本友好協会主催、朝日新聞社後援)が3月17日、オンライン形式で開かれた。今年度は新型コロナウイルスの影響で対面での交流ができないなか、ネット時代の生き方などについて意見を交わした。

 年に1度の開催で過去2回は中国の学生を東京に招いて開催されたが、今回は新型コロナの影響でオンライン形式となった。主催者や協力団体の呼びかけに応じた24人がオンライン形式で参加。テーマ別に三つのグループに分かれ、日本語と中国語で討論した。

 世界を一変させた新型コロナは、両国の若者たちの生き方にも影響を与えた。

 「オンラインコミュニケーションで何を生み出せるか」をテーマにしたグループでは、日中双方の学生から、オンラインで安く留学をしたり遠隔地から海外の企業の面接を受けたりできるようになったという指摘があった。

 宮城教育大学4年の斎藤祐佳さんは、日本で暮らす外国籍の児童への学習支援でオンラインを活用した経験を紹介。児童の母国出身の留学生を交えて勉強を教えることもできたといい、「実際に会えなくても授業を進めることができるようになった」と話した。

 学生たちは、新しいコミュニケーションの広がりで社会の公平性が高まることへの期待を示す一方、高齢者らがオンラインでの交流から取り残されているという指摘も出た。

 吉林省の吉林大学4年の李雨農さんは「慣れていない人にも使いやすいよう、アプリの提供側が配慮することが大切だ」と提案。吉林大学4年の張亜暉さんも「私たちが社会に出た時、他の世代の格差をなくすためにできることがある」と話した。

 日中間のコミュニケーションが足りないという声も上がった。早稲田大学4年の多比良浩之さんは、日中双方の市民に相手国について思い浮かべる人を尋ねた調査で、日本側からは中国の歴史上の人物ばかりが挙がったという結果を紹介。「オンラインで交流が増え、双方のギャップがなくなれば、日中関係も良くなると思う」と話した。

 ネットを通じて多くの人が結びつく時代の功罪は、「情報があふれ、真偽の見分けにくい時代をどう生きるか」を話し合ったグループでも取り上げられた。

 東洋大学4年の入江里彩さんは「災害やコロナの発生時に、デマがSNSで広く拡散されるようになった」と指摘。湖北省の湖北大学3年の金小楠さんの「自分が知りたい情報にしか接しなくなっていることが問題。どんな情報でもまず疑問に思うことが重要だ」という意見には、ほかの出席者の多くがうなずいた。金さんは「たまには携帯電話を手放して友達と自然を味わうのはどうでしょうか」と解決策も投げかけた。

 議論はネット上で拡散する日中双方の先入観や偏見にも及び、「現地に行ったり、自分の目で見たりしないと本当のことはわからない」(清泉女子大学4年の中村茉里さん)、「ネットの情報だけでは知識も浅くなってしまう。本も読みながら理解していかないといけない」(湖北大学4年の趙●(「ころも」偏(裕の偏)に「韋」)さん)といった意見が出た。

 中央大学4年の加藤千華さんは対話の終了後、取材に「日本と中国は歴史的にも文化的にも近く、お互い理解し合える国のはず。ネットの情報に惑わされず、相手を理解する気持ちを持って中国や中国の人々と関わっていきたい」と話した。

 「日中の若者の結婚観の違い」を議論したグループもあり、身近な人の例やインターネットで調べた相手国の結婚事情を踏まえて議論した。中国では結婚相手に安定した経済力を求める傾向が強く公務員が人気だと紹介されると、日本側からは若者の間ではむしろ長時間労働などで公務員に就きたい人が減っており、結婚相手にも共通の価値観や趣味を求める人が多いという意見が出た。

 結婚観をめぐる議論には、ほかのグループの出席者からも強い関心が寄せられた。

 「中国では30歳を過ぎると、男女とも『売れ残り』と言われて親や社会からの結婚圧力が高まる」という話を聞いた日本側の学生からは「30歳で『売れ残り』と言われてしまうなんて……。中国と比べて、日本の結婚観は自由だと感じた」という声も上がった。(小早川遥平、笠原真)