第3回足撃たれ切断「幸せになった」 少年に透けるガザの絶望

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エルサレム=高野遼
写真・図版
青春と愛国とロケット弾 パレスチナを生きる  グラフィック・伊坂美友
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青春と愛国とロケット弾③

 16歳の少年が口にしたのは、思いも寄らぬ言葉だった。

 「僕は足を撃たれて、幸せになった。神様に感謝したい」

 私はのちに、その言葉が持つ本当の意味を知ることになる。

獄中にいたパパは精子を菓子袋に…そして僕は生まれた

自力ではあらがえない紛争のど真ん中で生まれ、何を感じて大人になっていくのか――。パレスチナの未来を担う若者たちの現実に迫る。

 彼と出会ったのはガザ地区。パレスチナの中でも、特殊な場所として知られるエリアだ。

 地図をみるとよくわかる。パレスチナ自治政府の拠点があるヨルダン川西岸地区から遠く南西に離れ、エジプトに接した四角い飛び地のエリアがある。そこがガザだ。

 周囲はイスラエルによって、壁やフェンスで「封鎖」されている。イスラエルや米国などがテロ組織に指定するイスラム組織ハマスがガザを実効支配しているためだ。

 封鎖は、ハマスの支配が始まった2007年から続く。「天井のない監獄」の異名を持ち、200万人が閉じ込められたように暮らす。

 ガザの人々は封鎖に抵抗し、フェンスに向かってデモを繰り返した。イスラエル兵が狙撃して、それを阻む。2018~19年の2年間で、155人が撃たれて足を切断した。30人は子どもだった。

写真・図版
松葉杖をつき、笑顔をみせるアブドラ君=2020年12月23日、ガザ、高野遼撮影

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