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自閉症当事者の居場所作るには 映画が問いかける現実

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川口敦子
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 4月2日は国連が定めた「世界自閉症啓発デー」。自閉症スペクトラム(ASD)の当事者が見ている世界とは。家族はどう関わるべきか。実態を知ってもらおうと、この春、映画が続々と公開される。

 英国のジェリー・ロスウェル監督の「僕が跳びはねる理由」は、重度のASDである東田直樹さん(28)が13歳の時に書いたエッセー集「自閉症の僕が跳びはねる理由」が原作のドキュメンタリーだ。デイヴィッド・ミッチェルさんが英訳して30カ国以上で出版され、117万部を超えるベストセラーになった。

記事後半には、デイヴィッド・ミッチェルさんのインタビューを掲載しています。作品の中で印象的だったシーンは――。

 東田さんは、キーボードと同じ配列のアルファベットの文字盤を使い、ローマ字打ちで一文字ずつ指しながら思いを伝える。「話そうとすると消えてしまう言葉を引き出すために考えたコミュニケーション方法です」という。

 映画には様々な国のASDの当事者が登場する。ミッチェルさんは「自閉症がいかに国際的なものなのかを改めて感じさせてくれた。原作をそのまま映像化するわけではなく、実際の体験に近いものを再現している」と評価する。

 ロスウェル監督は「世界の異なる地域に住む会話のできないASDの人の日常的な体験を描きたかった」と話す。目指したのは「観客を視覚と聴覚の世界から感覚過多の世界へと連れていき、コミュニケーションの方法を見つけること、そしてASDの人が抱えてきた汚名と戦うことに導くこと」だ。迫ってくる雨や風の音。ブランコをこぎながらフラッシュバックする風景など、感覚の世界が体感できる。また、文字盤がなかった時代の学校生活について、当事者の男性が「あれは人権の否定だった」と伝える場面も印象的だ。

 もう一つは、イスラエルのニ…

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