「認知症のおそれ」の高齢ドライバー、約4割が免許継続
75歳以上の運転者が対象の認知機能検査で認知症のおそれがあると判定され、昨年中に運転免許の扱いが決まった約3万2千人のうち、約6割が免許の継続を断念した。警察庁が29日発表した。
免許を更新する際などの認知機能検査では、記憶力や判断力などを調べる。昨年は約203万5千人が検査を受けた。3段階の分類のうち、「認知症のおそれ」の第1分類と判定されると、医師の診断を受ける必要がある。第1分類で昨年中に免許の扱いが決まった3万2412人のうち、継続を断念したのは2万198人だった。
内訳は、自主返納が1万4995人(全体の46・3%)、更新せずに免許が失効した人が4227人(同13・0%)、免許取り消し・停止となった人が976人(同3・0%)だった。
免許を継続したのは、その後認知症ではないと診断された2657人(同8・2%)と原則6カ月後の再度の診断が条件となった9557人(同29・5%)だった。
昨年、死亡事故を起こした75歳以上の運転者で事故前に検査を受けていた305人を見ると、第1分類は6人(2・0%)、「認知機能低下のおそれ」の第2分類は127人(41・6%)。172人(56・4%)は第3分類の「認知機能低下のおそれなし」と判定されていた。
認知機能に問題がなくても、身体機能の低下などで事故を起こす可能性があるとして、警察庁は新たに運転技能検査(実車試験)を導入する。75歳以上のうち一定の違反歴がある人が対象で、来年6月までに実施される。(田内康介)
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