座礁のコンテナ船が離岸 スエズ運河、再開時期は不明

カイロ=北川学
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 エジプト東部のスエズ運河の座礁事故でエジプト当局は29日、大型コンテナ船の船尾部分が浮上し、岸を離れたと発表した。「船の8割方は正常な位置に戻った」としたが、運河の通航再開の時期については明言しなかった。

 運河を管理するスエズ運河庁のラビア長官は声明で「離礁作業はうまくいっている」と説明。船尾部分は岸から約100メートルの位置まで移動し、今後は船首を動かす作業を再開する。完全に浮上した後にコンテナ船を広い水域に移動させ、通航を再開するという。

 シーシ大統領も同日、フェイスブックに「大きな技術的複雑さにもかかわらず、エジプト人は、座礁したコンテナ船の危機の終結に成功した」と投稿した。

 地元メディアによると、離礁が始まったのは同日午前4時半ごろ。現場一帯は大潮で、28日深夜の満潮時の作業が功を奏した。現場では10隻以上のタグボートが稼働しているが、運河庁は大型のタグボート2隻をさらに投入する方針だ。

 事故は23日に発生。コンテナ船は運河の南端から北に6キロほど進んだ地点で船首が浅瀬に乗り上げ、水路を完全に塞いだ。

 運河庁は船首周辺の土砂を浚渫(しゅんせつ)船で取り除きつつ、満潮時にタグボートで船体の向きを変える作業を繰り返した。長さ400メートルの船体を動かす作業は難航したが、ここ数日は、大潮のため満潮時の潮位が高くなる状態が続く。運河庁は復旧に向けた絶好の機会とみている。

 ラビア長官は28日、シーシ大統領から積み荷の一部を下ろし、船体を軽くする準備を進めるよう指示されたと地元テレビで語った。この方法が採られれば、復旧までさらに時間が掛かるため、運河庁の対応が注目されていた。

 地中海と紅海をつなぐスエズ運河は、アジアと欧州を結ぶ航路。南アフリカ喜望峰を回る航路に比べ、航海をおよそ1週間短縮できる利点がある。

 運河庁の統計によると、2019年は1万8880隻の大型船が往来した。年間で60億ドル近い通行料収入は、観光業とともに、エジプトの大きな外貨収入源となっている。

 運河が通航できなくなったことで、他の大型船は運河の南北の入り口付近や途中の湖に滞留している。数は日増しに増えており、運河庁は369隻に達したと明らかにした。(カイロ=北川学)