「パニック恐れるエリート」4年前に漫画でコロナ禍予想

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聞き手・服部尚
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 テレビドラマ化された「インハンド」など、医学をテーマにした漫画を描いてきた漫画家の朱戸(あかと)アオさん。感染爆発を描いた4年前の作品「リウーを待ちながら」で描かれた世界が、コロナ禍で重なる部分も多く、そのリアリティーから注目を集めました。朱戸さん自身はコロナ禍をどう見たのでしょう。

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朱戸アオさん=本人提供

 ――「リウーを待ちながら」は、日本国内のある地方都市で起こった感染症のアウトブレークを描いた作品です。

 「理不尽な状況に置かれた人々が生きる道を模索する姿を描きたいという思いがありました。たまたまその舞台設定として感染症のアウトブレークを選びました」

 ――2017年の作品なのに、「緊急事態宣言」や「濃厚接触」「N95マスク」など、いまでは多くの人になじみ深くなった言葉が頻繁に登場します。

 「私自身は美大出身で、医療や医学の専門知識を持ち合わせてはいませんでした。ただ高校は進学校で、医者の同級生もいたりしたので、その友人を通じて、医師の勉強会に出たり、つてを頼って感染症対策に当たる自衛隊を描くため駐屯地に見学に行ったりしました。あとは手当たり次第に関連の本を読んだりして、知識を座学で身につけて描きました」

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リウーを待ちながら(朱戸アオ、講談社)=同社提供

住民は意外とパニック起こさない

 ――驚いたのは「住民は意外とパニックを起こさないが、エリートは必要以上にパニックを恐れて住民をおさえつけようとする」という登場人物の言葉です。コロナ禍でリスクコミュニケーションの専門家からも聞いた認識です。医学分野にとどまらない下調べの幅広さを感じました。想定外だったことはありますか。

 「時短営業や外出自粛の要請で、飲食業や観光業者が経済的な被害をこうむるということは予測できませんでした。いまなら、借金して飲食店を開いた矢先にコロナ禍に見舞われる人など、いろいろな人の姿を描けるし、そうした人たちごとのいろんな価値観を描いただろうと思います」

 ――日本政府の対応は後手に回っているという批判を招きました。

 「漫画のほうがフィクション…

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