パワハラ認定せず 宇陀市職員自殺で有識者会議

篠原大輔
[PR]

 奈良県宇陀市立病院の男性職員(当時59歳)が昨年2月に自殺した件に関する有識者会議(井上直治会長)は29日、報告書を金剛一智市長に提出。「上司らから男性へ不適切な発言があったが、継続性などがうかがえず直ちに違法とまではいえない」と、パワハラがあったとは認めなかった。

 3委員で構成された有識者会議は昨年11月~今月、前市長の高見省次氏や前副市長の前田栄司氏ら関係者へのヒアリングなどに当たった。

 2018年10月、市立病院の電子カルテシステムがコンピューターウイルスに感染し、男性は同年12月から原因究明や報告書作成などを担当。19年10月、問題対応のため新設された病院事務局情報システム管理室長になった後、自殺した。報告書では、上司の業務管理の欠如で男性に業務が集中し、上司の適切性を欠く言動もあってうつ状態となり自殺に及んだと考えられるとした。

 有識者会議によると、「上司などから叱責(しっせき)があった」という内部調査結果を念頭に調べたところ、19年9月ごろ、前副市長が、男性に「(コンピューターウイルス感染事案)有識者会議で説明をちゃんとできなかったら後ろから鉄砲で撃つぞ」と怒鳴ったり、同年11月ごろ前副市長が男性とその上司に「何で物事が進んでないの」などと大声で叱責したりしたことが分かったという。

 井上会長は記者会見で「他には具体的に出てこなかった。不適切な発言ではあっても、継続性がうかがえないことなどから直ちにパワハラとは認められない」と説明した。

 男性の遺族は「夫の死は業務上の原因だったことが確定され、大きな問題に関わった間に起きた様々な出来事により自ら命を落としたことが明白になった」とするコメントを出した。(篠原大輔)