栃木の聖火リレー閉幕 コロナ対策の課題残す

梶山天、津布楽洋一 池田拓哉
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 東京五輪聖火リレー栃木県ルートは29日、那須町や宇都宮市など8市町で第2日を迎え、2日間の幕を閉じた。新型コロナウイルス対策で沿道の密集を避けることが呼びかけられていたが、一部では大勢の観衆が集まった場所もあった。栃木での聖火リレーは五輪への関心を高めた一方、リレーが続く他の都道府県に課題を残した。

 日光市では、日光二荒山神社拝殿前から日光山輪王寺三仏堂前を経て、東武日光駅前広場までの約3キロのコース設定で、「世界文化遺産巡り」の様相だった。

 日光東照宮の陽明門前では、県観光物産協会会長の新井俊一さん(72)がトーチへ点火してもらい、石段をゆっくりと下りて、手を振りながら進み出した。「ふだん火が入らない境内にトーチが入り、感激しながら走りました」

 日光東照宮の稲葉久雄宮司は、聖火が陽明門前で引き継がれたことを含め、「平和の祭典の聖火リレーが県内を巡り、大変意義深いものでした」と話した。

 さくら市のコースを走った氏家商工会長の加藤有さん(76)は、1964年の東京五輪に続いて聖火ランナーを務めた。「一生で2度走れるのは大変うれしい」

 元々、陸上競技の短距離選手だった。前回は副走者として、火がついていない予備のトーチを持って走ったという。

 その後、がんで手術を繰り返し、「病気で悩んでいる人に元気でやっていけるところを見せたい」と、2度目の挑戦を決めた。毎日散歩を続けて準備し、この日は最後までしっかりとした足取りだった。

 壬生町のコースで最終走者を務めたのは、2016年のパラリンピック・リオデジャネイロ大会でボート競技に出場した駒崎茂さん(58)。「応援に後押しされて、無事にゴールまでつなげた」と笑顔を見せた。

 交通事故で両足とも義足に。今回、本来のユニホームは長ズボンだと案内されたが、義足で走れるところを見てもらおうと、半ズボンにしてもらったという。ゴール後、「足は大丈夫です」と元気いっぱいだった。

 県内リレーの最終走者は、プロバスケットボール・宇都宮ブレックスの田臥勇太選手(40)。県庁まで無事に聖火をつなぎ、「五輪が安全に開催されることを願っている」と語った。(梶山天、津布楽洋一)

 壬生町の到着セレモニーは関係者のみで開かれるはずだったが、会場の町総合公園陸上競技場には町民ら約700人が詰めかけた。インターネットなどでリレーコースを調べた人らが訪れたとみられる。

 県庁に近い宇都宮市中心部の大通りでは午後7時40分ごろ、自転車ロードレースのプロチーム・宇都宮ブリッツェンの増田成幸選手が、自転車に聖火のトーチを載せて走ってきた。沿道の観客に、県職員らが「密にならないようにお願いします」などと注意したが、周辺は一時的に混雑した。

 別の受け渡し地点でも、走者にスマホを向ける人たちが重なり合い、警察が注意する場面もあった。

 28日に足利市で観客の「密状態」が起きたことを受け、沿道の整理にあたる県職員には急きょ、県実行委員会から「観客が3列に重なったら注意するように」と指導があったという。「間を空けて応援してください」などと呼びかけた県職員は「緩和はできたのではないか。移動をお願いするので精いっぱい。『具体的にこうして』という指導は難しい」と話していた。(池田拓哉)