第7回靴下売りの少年 動き始めた人生 歌声磨き壁の向こうへ

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エルサレム=高野遼

拡大する写真・図版青春と愛国とロケット弾 パレスチナを生きる  グラフィック・伊坂美友

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青春と愛国とロケット弾⑦

 もうこんなひどい場所には住んでいられない。意を決して、パレスチナを離れる若者たちが増えている――。

 そんな話を最近よく聞くようになった。ガザ地区でのことだ。

獄中にいたパパは精子を菓子袋に…そして僕は生まれた

自力ではあらがえない紛争のど真ん中で生まれ、何を感じて大人になっていくのか――。パレスチナの未来を担う若者たちの現実に迫る。

 パレスチナの中でも、ガザ地区は特殊な場所だ。福岡市ほどの面積がある一角が、壁やフェンスで厳重に囲まれている。イスラエルによる封鎖が始まった2007年以来、壁の外に一歩も出たことのない人も多い。

 「外の世界に出てみたい」と若者たちは口をそろえる。壁の向こうに広がる世界に、どんな希望を抱くのか。ガザ地区に閉じ込められた若者たちを訪ね歩いた。

エッフェル塔を見てみたい

 路上に座って靴下を売るのが、少年の日常だった。時間をもてあまして、気の向くままに歌を歌っていた。

 ある日、通行人の一人がその歌声を収録し、ユーチューブに投稿した。少年の人生が、動き始めた瞬間だった。

 少年の名は、ジャサル・アルハマミ君(13)。7人きょうだいの3番目。お金に困った叔父さん一家を助けるため、4年前から靴下売りをしていた。学校は、途中でやめた。

 投稿された動画はネット上で拡散し、一人のアーティストの目に留まった。ムハンマド・アッサーフさん。ガザでは誰もが知る、難民キャンプ出身のスター歌手だ。

 アッサーフさんは、ジャサル…

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