センバツの感染対策、観客は安心?「前の席が密」指摘も

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 コロナ禍での選抜高校野球大会は終盤を迎えた。1万人以下に制限された観客は事前予約の指定席で、接触確認アプリの導入が求められる。喫煙所の利用さえ定員制で、選手への取材はオンラインのみ。徹底した感染防止策を、長年のファンらはどう受け止めたか。

 兵庫県西宮市阪神甲子園球場に入ると、検温カメラと消毒液が出迎える。

 屋内の通路や階段の踊り場には、換気用の送風機が30台新設された。センサー式のアルコール消毒液はトイレや各入場門に計110カ所増設され、入場門6カ所で検温カメラを更新。トイレやベンチなどに抗菌施工も行われた。球場はこうした対策工事に開幕までに約3600万円をかけた。

 観客の上限は1試合あたり1万人で、座席は事前販売の指定席。吹奏楽の演奏や大声での応援は禁止だ。

 選抜大会に10年以上通う神奈川県の長島康子さん(70)は、除菌液を持参したが、「たくさん消毒液が設置されていてよかった」。座席指定には「いろんな人が座るより少しは安心感がある」と話した。

 座席には、感染者との接触を知らせるスマートフォン用の「兵庫県新型コロナ追跡システム」のQRコードが貼られ、座ったエリアが記録される。元高校球児の大阪市淀川区の会社員市川真司さん(52)は外野席で、スマホでQRコードを読み取った。「懸命なプレーに叫びたい気持ちもあるが、静かに観戦します」

 静岡県浜松市の鈴木容子さん(45)も兵庫県の追跡システムに登録した。ただ、「兵庫県のシステムや同じようなアプリ『COCOA(ココア)』はスマホが前提。幅広い世代の観客が来る甲子園でみんなが使えているのかしら」と指摘した。

 「マスク着用のお願い」「飲食時は会話をお控え下さい」。そう書かれた掲示を肩から提げたスタッフがスタンドを巡回する。

 外野席にいた京都府向日市の自営業、山本直弘さん(52)には、飲食したり会話したりする人が例年より少なく映った。「みんな感染対策を意識していて、安心して試合を見られる」。投手が投げたボールが捕手のミットに収まる際の「パアーン」と乾いた音が、外野席まで聞こえるのには驚いた。「ここまで静かな甲子園は初めて。寂しい気持ちもあります」

 球場内の喫煙所も定員が定められ、超過しないよう入り口でスタッフが見ている。試合終了時には愛煙家らがたばこやライターを手に列をなすことも。「ご利用は、できるだけ短時間でお願いします!」と貼り紙がある外野席の喫煙所から出てきた岐阜県本巣市の自営業の男性(52)は、「ご利用時間/目安5分まで」の掲示を見て「さっと出てきた」と話した。

 指定された席を移動する観客も見られた。外野席で観戦した男性(57)は前方に観客が多く密になっていると感じ、空いている上段に移った。「観客の数は変わらないから、自由席にした方が人との距離を開けられるのでは」

 「甲子園巡礼」として、毎日欠かさず球場に通う大阪府東大阪市の会社員、中島努さん(56)。無観客開催となった昨夏の甲子園交流試合は、球場の外でラジオを聞いていたという。「やっと中に入れた。特に厳しい対策とは思わない。感染して甲子園に来られないほうが嫌だからね」

 選手との接触は制限される。練習時や宿舎での取材は不可。取材は原則として試合後にオンラインでの形式だ。大会前に参加32校の全選手ら、1回戦終了後に勝利チームの全選手らにPCR検査が行われ、全員が陰性と発表された。

 準々決勝までの9日間の入場者は累計で12万1700人。30日は休養日で、31日に準決勝、4月1日に決勝の予定だ。

 甲子園では8月に選手権大会が予定されている。その直前の予定の東京五輪では、観客数は協議中だ。

選抜高校野球の主なコロナ対策

【出場チーム】

・選手、監督らは大会前にPCR検査、1回戦の勝利チームは再検査

・陽性者が出た場合は、集団感染か個別感染かを考慮して、参加可否を協議

・試合中、出場選手以外は原則マスク着用

【球場設備、観客と応援】

・球場に送風機を新設、消毒液を増設

・チケットは全席前売りの指定席に。席の移動は禁止

・入場時に検温を実施。37.5度以上の発熱があるか、特別な事情のある場合を除いてマスクを着用していないと入場できない

・アルコールの提供はしない、持ち込みも禁止

・感染者と接触したことを通知するアプリ「COCOA(ココア)」のインストールや兵庫県新型コロナ追跡システムへの登録

・観戦終了後、最低14日間はチケットを保管する

・喫煙所は入場制限。利用の目安は5分まで

・ブラスバンドはなし。録音した応援曲を提出し、試合で流すことは可能。拍手での応援が基本