BBC、特派員を北京から異動 人権問題取材し「圧力」

ロンドン=金成隆一、北京=冨名腰隆、台北=石田耕一郎
[PR]

 英公共放送BBCは3月31日、中国特派員ジョン・サドワース氏が北京から台湾に異動した、とツイッターで発表した。報道内容を巡って中国当局とBBCが対立する中、新疆ウイグル自治区の人権侵害問題を報じてきた同氏は当局の圧力を受けて、家族とともに北京を去ったという。

 サドワース氏は中国滞在歴9年。どこで撮影を試みても取材クルーと共に当局に監視され、法的な行動に出ると脅され、妨害や威嚇を受けていたという。

 BBCは「(同氏は)中国当局が世界に知られたくなかった真実を明らかにした。誇りにしている」と投稿。今後も台湾から中国報道に携わるという。

 BBCは同氏の「異動」を伝えるニュースサイトで同氏による調査報道を紹介。「中国の『汚染された』コットン」と題された記事は「中国は、何十万人ものウイグル族や他の少数民族に、広大な綿花畑での過酷な肉体労働を強いている」などと伝えている。

 中国当局は2月、BBCの報道が中国の民族的な団結を壊したなどとして、中国での放送を認めない決定をしたと発表。新疆ウイグル自治区での報道を問題視したとみられている。

 一方、中国外務省の華春瑩報道局長は31日の定例会見で「サドワース氏は外国人記者の退任時に必要な手続きを行っておらず、明らかに異常な出国だ」と非難。報道で損害を受けた民衆らが訴訟を検討していたとし、「報道が公正で客観的だと思うなら受けるべきだ」と訴えた。

 BBCの中国報道については「強いイデオロギー的偏見のあるフェイクニュースを放送しており、公正な報道の立場から大きく逸脱している。特に新疆ウイグル自治区、香港、新型コロナなどの問題で大量の偽情報を流布したことは、中国人民の強い反対を受けている」と述べ、見直しを求めた。

 台湾外交部によると、台湾には現在、72の海外メディアが拠点を置き、計126人の記者が駐在。昨年以降、21メディアの記者39人が新たに加わったという。このうち、米紙のニューヨーク・タイムズワシントン・ポストなどは、中国や香港での取材環境の悪化を理由にしている。

 台湾外交部の欧江安報道官は1日の記者会見で、「台湾は報道の自由を重視しており、世界の記者の駐在を歓迎する」と述べた。(ロンドン=金成隆一、北京=冨名腰隆、台北=石田耕一郎)