中国と中東、外交で新局面 「人権問題の政治化に反対」

有料会員記事

北京=高田正幸
[PR]

 中国の王毅(ワンイー)国務委員兼外相は3月30日、サウジアラビアやトルコ、イランなど中東6カ国の歴訪を終え帰国した。米中の外交トップが激しくぶつかった米アラスカ州での会談後、ほぼ休む間もなく展開した外遊は、従来の中国外交の枠を超える新たな局面を予感させた。

 「より安定した国際関係の構築を促進していく用意がある」

 中国外務省によると王氏は29日、最後の訪問先となったバーレーンでザヤニ外相にこう語った。

 中国側によると、「人権問題の政治化に反対する」という中国の立場に、ザヤニ氏も同意する考えを表明。「中国が提起した『中東地域の安全と安定の実現に向けた五つの提案』を評価する」と応じたという。

 「五つの提案」とは今回の歴訪に際し、中国政府が打ち出した提言だ。具体的には、シリアイエメン、リビアなど政情が不安定な地域の問題を政治的に解決する▽パレスチナ問題の「2国家共存」を着実に実行する▽イラン核合意への米国の復帰とイランの合意履行再開に向けた行程表を策定する▽湾岸地域の安全保障に関する多国間対話会議を開く▽新型コロナウイルス流行後の経済回復に向けて中東各国が経済協力を行う――との内容だ。

 それぞれの項目に格別の目新しさはないが、上海外国語大中東研究所の潜旭明・副研究員は「この提案は、中国が今後、中東で建設的な役割を進めていくという意思表示だ」と語る。

 発展途上国のリーダーを自任する中国だが、欧米と地域各国の利害が複雑に絡み合い、歴史的にも宗教的にも地政学的にも距離のある中東情勢への関与は自制的だった。しかし、バイデン政権の外交が本格始動する前に設定した今回の歴訪で、王氏はそうした殻を破るような言動が目立った。

殻やぶるような言動

 核開発問題をめぐる米国の制…

この記事は有料会員記事です。残り1241文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【締め切り迫る!】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら