フランスのマリ空爆、市民19人死亡 国連が報告書

パリ=疋田多揚
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 今年1月にフランス軍がテロリスト掃討を理由に西アフリカ・マリで行った空爆をめぐり、国連は3月30日、現地調査の結果「市民19人が巻き添えで死亡した」と結論づけた。報告書によると、作戦当時、村民が集まった結婚式が開かれており、国際人道法に違反していないか調べるよう仏側に求めている。

 空爆は1月3日午後3時ごろ、マリ中部の村ブンティで仏軍が行った。当初から市民が巻き添えになったという情報があったが、仏軍は「空爆は武装テロリスト集団を標的にしたもので、結婚式も開かれていなかった」などと説明していた。マリに展開する国連の平和維持部隊は空爆の翌日から2月20日にかけて、人権問題を扱う10人以上の調査団を派遣。空爆の負傷者や現地住民、病院関係者ら300人以上から当時の状況を聞き取った。

 報告書によると、当日は午前9時からブンティの村はずれに約100人の村民が集まり、男女別に分かれて結婚式の準備をしていた。アルカイダ系武装集団のメンバー5人も参加していたという。

 空爆では男性22人が死亡し、うち3人が武装集団のメンバーだったという。

 報告書は、「武装集団のメンバーがそこにいたというだけで、その地域の人物すべてを武装集団だとみなすことはできない」と指摘。「国際人道法は標的を軍事目標などにはっきり識別するよう求めている」として国際法違反の疑いがあると示唆した。テロリストだけが攻撃された証拠が仏軍から調査団に提供されたことはなかったという。

 報告書は、フランスとマリに対し、犠牲者への補償に加え、独立性と透明性のある調査によって責任を明確にするよう勧告した。仏軍は30日、「報告書の証言は匿名で、信頼できる情報源なのか、テロリストに近い人物によるうそなのかが区別できない」などと批判する声明を出した。

 フランスは13年、無政府状態に陥っていたマリに軍事介入。以来、過激派組織などの掃討作戦を続けている。自軍の人的被害を抑えようと、19年末には初めてドローンをマリでの空爆に使い「テロリスト」7人を殺害した。(パリ=疋田多揚)