トリリンガルの脳、視覚野で言語を学習か 東大など論文

小宮山亮磨
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 母国語に加えて二つの外国語の計3カ国語を操れるトリリンガルの人は、さらに新しい言語を学ぶ際、外国語を一つだけ使えるバイリンガルの人よりも短時間で習得できる。そんな結果を、東京大などのグループが日本人49人の実験で見つけた。音声だけを使って言語を学習する際にも、映像をイメージする脳の視覚野を活用しているらしい。

 東大の酒井邦嘉教授(言語脳科学)らは、東大や上智大の学生らにカザフスタンのカザフ語を学習させた。学習は、音声とコンピューターの画面に表示される英訳だけで、文法規則は一切教えなかった。

 すると、日本語以外に英語とスペイン語を話せるトリリンガルの28人は、この二つの言語のリスニング能力が高い人ほど、カザフ語を短時間で聞き取れるようになる傾向があった。問題の回答にかかる時間の減り方も、英語だけしか話せないバイリンガルの21人より大きく、新しい言語への順応性が高かった。

 脳の活動をfMRI(機能的磁気共鳴断層撮影)で調べると、トリリンガルの人は、言葉の処理にかかわる言語野の働きがバイリンガルの人より活発だっただけでなく、音声だけを使った課題でも、視覚野が強く働いていた。イメージを使って言語を学習しているとみられる。

 欧州やアフリカの多民族国家では、いくつもの言語を操る人が珍しくない。酒井さんは「多言語話者のほうが脳をダイナミックに使える。英語に触れる時、さらに別の言語と同時に学ぶのが自然で有効な方法だ」と話した。

 論文は3月31日、科学誌サイエンティフィック・リポーツのウェブサイト(www.nature.com/articles/s41598-021-86710-4)で発表された。(小宮山亮磨)