エース石田に頼り切り…脱却へ めざす野球、最後に実る

山口裕起
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(1日、選抜高校野球 東海大相模3-2明豊)

 思いが、つながった。

 九回。先頭の深谷謙志郎が、三塁前にセーフティーバントを転がし一塁へ頭から突っ込む。泥だらけの顔で一塁ベンチに向かって拳を突き上げた。石田隼都がバントで送り、申告敬遠を挟んで綛田(かせだ)小瑛はファウルで粘る。四球をもぎ取った。

 「みんながつないでくれた。絶対に決めてやる」。1死満塁で打席に立った3番小島大河は、2球で追い込まれたが、気持ちは折れていなかった。3球目。外角球に右足を踏み込んで振り抜いた。その後のことは「あまり覚えていない」。跳びはねる仲間の笑顔を見て、サヨナラ勝ちを確信した。

 昨秋、チームは関東大会準々決勝で1―2でサヨナラ負けし、今大会は関東・東京の最後の6枠目で選ばれた。例年のような強打者は不在。エース石田に頼り切りだったチームは「つながる」をテーマに掲げ、打撃練習に取り組んだ。

 冬場は外野ネットの張り替え工事でグラウンドが使えないなか、バックネットに向かって打った。そこで徹底したのが、低い打球と中堅返しだった。

 短打やバント、四球を選んで後ろの打者へ、つなげる。派手さはないが、食らいつく。この試合も先行されたが、スクイズも絡めて2度追いついた。

 そして、サヨナラの場面。それまで2度の満塁機で凡退していた小島の打球は、低いライナーで中堅方向へ飛んだ。「ずっと凡退していたので、最高にうれしい」。めざしていた野球が、最後の最後に実った。(山口裕起)