景気回復は「K」字形、広がる景況感格差 3月日銀短観

山下裕志、渡辺淳基
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 日本銀行が1日発表した3月の「短観」は、大企業・製造業の業況判断指数(DI)が3四半期続けて上向いてプラス5だった。非製造業も小幅に回復したがマイナス1にとどまる。製造業はコロナ禍前の水準へ戻った一方で、非製造業は打撃が残り、業種間の回復の格差が広がっている。

 DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」を引いた指数。調査期間は2月25日~3月31日で、約7割が同12日までに答えた。旅行支援策「Go Toトラベル」が全国で停止され、緊急事態宣言が再び出た時期と重なる。

 円安を追い風に輸出が好調な製造業は、昨年12月の前回調査から15ポイントも改善。コロナ禍前の19年9月調査以来の水準になった。業種別にみると、「自動車」が23ポイント改善してプラス10に、自動車向けに部材を提供する「鉄鋼」は20ポイント改善のマイナス5になった。ともに前回調査時の3月先行き見通しを上回った。「電気機械」も前回のマイナス1から今回プラス18へ転じた。

 非製造業の改善幅は4ポイントと小さかった。「宿泊・飲食サービス」は前回マイナス66で、今回マイナス81。前回時点での3月見通しは小幅改善だったが、逆に悪化した。「対個人サービス」も前回マイナス43で、3月にマイナス25へ改善する見通しだったが、一転マイナス51へ落ちた。こうした対面型サービス業が苦しいのに対し、「不動産」「情報サービス」などは回復した。

 製造業など好調な業種がある一方で、対面型サービス業のように低迷したままの産業もある。コロナ禍からの景気回復は二極化が進み、「K」字形の回復とエコノミストらの間で呼ばれる。輸出企業の多い製造業の回復が好感され、1日の日経平均株価は200円超上昇。一方で、働き手の多い対面型サービスは苦しいままで、雇用不安が続く。

 中小企業は製造業マイナス13、非製造業マイナス11と依然低いまま。大企業と中小企業の差も目立つ。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎氏は「製造業は想像以上に回復した。非製造業も良くなった業種があるが、コロナ禍の負の影響が大きい宿泊・飲食、個人向けサービスが『置いてけぼり』で格差が広がった。先行きはワクチンへの期待や感染再拡大への懸念が混在している」と話す。

 短観は「全国企業短期経済観測調査」の略で、経営者らに景気の見方や投資計画などを3カ月ごと(3・6・9・12月)に尋ねる。全国の約1万社が対象で回答率は100%近く、景気の動きを全体的に映す。

 業況判断DIは自社の景況感について「良い」「さほど良くない」「悪い」の3択で答える。例えば、約2千社(20%)が「良い」、約4千社(40%)が「悪い」と答えると、DIは20から40を引いたマイナス20となる。(山下裕志、渡辺淳基