プロと草野球ほどの差? 新電力が本物になるためには

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聞き手・大津智義
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 東日本大震災は、首都圏で計画停電を強いるなど、国内の電力供給の弱点を露呈させた。大手電力会社が供給地域を独占することによる市場のゆがみも指摘され、5年前に家庭向けを含めた電力小売りが全面的に自由化されることにつながった。かつて、東京電力企画部で電力自由化の問題にかかわり、いまはソフトバンク傘下の新電力「SBパワー」で社長を務める中野明彦さん(55)に、評価や課題を聞いた。

 ――電力自由化によって、消費者はメリットを享受できているのでしょうか。

 「私は、自由化とは消費者にとって選択肢を増やすことだと、東電時代からずっと思っています。独占だと、メニューや価格は硬直的になるし、いいサービスも受けられません。自由化後、『地産地消』の電気が出てきたり、弊社のように携帯電話の契約とのセットになった販売も出てきたりしています。住宅メーカーや鉄道会社まで参入しているわけですから、なかなかユニークです。世界的に見ても、ここまで多業種から参入している例は珍しく、そこは十分な成果だと思っています」

 ――とはいえ、大手を脅かすような事業者は現れていませんね。

 「新電力全体としては脅かしつつあると思います。ただ、大手電力会社の対抗馬になりえる企業が出てくるかといったら、それは相当難易度が高いと思います。なぜかと言うと、大手の送配電部門は分社化されましたが、基本的に発電と小売り部門は一体のままだからです。小売りだけなら胸を借りるくらいのところまでいくかもしれませんが、発電と一体になった現状では、プロ野球と草野球くらいのレベルの差が出てしまいます」

 ――競争条件が平等ではないということですか。

 「大手電力では、発電から小売り部門に内部取引がされていますが、本来であれば、そこでの価格と、私たち社外との取引の価格が同じでなければなりません。でも、外部からは実態が見えにくいため、そうなっているのか分からないのが現状です。この部分の透明性や公平性をどう担保するかは課題です。これがイコールになれば、営業力がある会社、販路をしっかり持っている会社が一番強いですから、本当の小売り同士の勝負になります」

足元で揺り戻しも

 ――年末年始にかけて電力需給の逼迫(ひっぱく)で、卸電力市場の価格が高騰したことがありました。

 「今冬の卸電力市場で起きた…

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