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「私が営業?できるかな」筋ジス抱えた女性、新たな一歩

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真田香菜子 石垣明真、上沢博之
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 「社会人1年生として、頑張ります」

 午前10時半、千葉市若葉区の自動車販売整備業「エーゼットファクトリー」の朝礼。新入社員の内藤純子さん(18)があいさつすると、温かい拍手で迎えられた。

 内藤さんは難病の筋ジストロフィーで、長時間の歩行や重い物を持つのは苦手だが、会話に不便はない。買い物などの外出時には車いすを利用するが、今回、営業職として採用された。

 診断が出たのは小学校高学年。それでも「他の人と同じ生活をして、同じように働く大人になりたい」と考えてきた。高校は、工場を営み、働く父・大介さん(45)の姿に憧れ、工業高校の電子工業科に進んだ。

 高校3年で進路を考えている時、見つけたのが同社の整備士募集だった。車好きの父の影響もあり、自動車関連の職にひかれた。だが、「私にできるのは事務くらいだろうな」。ダメ元で事務職の求人を問い合わせると、「車いすの営業マンなら募集しています」。小野田直社長(58)から意外な回答が返ってきた。

 同社は、福祉車両の整備も手がける。取引先には福祉施設や障がい者も多く、「彼女は当事者。僕らが気付かないことにも気が配れ、さらに良いサービスができる」と考えたという。

 「私が営業? できるかな」。内藤さんは戸惑ったが、両親にも背中を押されて挑戦を決意。面接では受け答えがしっかりしていることなどが評価され、採用された。

 将来的には、一人で自動車を運転し、営業に回る予定だ。内藤さんのため、小野田社長は、改造費含め500万円を出し、全国に数十台しかない特別仕様の「ジョイスティック車」を用意。手で扱うレバー1本で、アクセルやブレーキ、カーブなどの操作が出来る。

 ただ、特殊な車を運転するための免許が必要だ。内藤さんは今後、教習所に通い、免許取得をめざす。

 営業の先輩・久我絢子さん(35)は、「内藤さんの目線で取引先を見てくれたら、提案の幅が広がる」。専務で整備士の秋田涼さん(32)は、「病気などで運転を諦めている子どもが彼女を見たら、希望がもてる」と期待する。

 この日、新たな一歩を踏み出した内藤さんは「不安はあるけど、お客様にしっかり商品の説明ができるよう、勉強していきたい」と決意を語った。(真田香菜子)

千葉県内 各社で入社式

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