「男勝り」は間違った表現 ジェンダーを縛る言葉の矛盾

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聞き手・太田成美
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 東京五輪パラリンピック大会組織委員会の森喜朗前会長の女性蔑視発言以降も、政界ではジェンダー平等と相いれない発言が続く。意思決定の場に女性を、との声も届かず、平等度合いの国際比較では、日本は今年も120位と低迷した。なぜ問題なのか、どう変えたらいいのか――。それぞれの分野で発信を続ける、メイクアップアーティストで僧侶の西村宏堂さん、サイボウズ社長の青野慶久さんに聞いてみました。(聞き手・太田成美)

性別のない形容詞を 西村宏堂さん

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政治家のジェンダー発言についてインタビューに答える西村宏堂さん=2021年3月18日午後、東京都港区、加藤諒撮影

 ――自民党竹下派の竹下亘会長は、東京五輪パラリンピック大会組織委員会の橋本聖子会長がかつて、男子選手に強引にキスをして「セクハラ」と報じられたことについて「スケート界では男みたいな性格でハグなんて当たり前の世界だ」と発言しました。その後も「正確には『男勝り』と言いたかった」と「訂正」したのですが、訂正にもなっていないと感じます。

 「男勝り」だとか、「男みたい」という表現自体が間違っているんです。例えば、「おしとやか」「かわいい」「勇ましい」って、男性、女性に関わらず、どんな人だって持っていていい性質。医学的には男女を分けることも必要だと思いますが、人の性格や人となりを、性別で表すことはできないんですよね。

 だから、「女性らしい」「男性らしい」という形容詞は、相手にも自分にも悪いこと。「あの人はパワフルな人だ」「すごく柔らかい人だ」って、性別のない形容詞を使うことで、みんなが自由に生きられると思うんです。

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政治家のジェンダー発言についてインタビューに答える西村宏堂さん=2021年3月18日午後、東京都港区、加藤諒撮影

 ――性別を絡めた形容詞は、生き方を縛ってしまうんですね。

 私は小さい時からお人形遊びが大好き。大学に入った時にマスカラを塗ったら、「え、宏堂君メイクしてるの?」って、あたかも悪いことのように言われたり、化粧品店で「彼女さんにですか? お母様にですか?」って言われたり。可能性を奪われていた気もします。

 いまもメイクやおしゃれに関わる仕事をしていますが、そういったことが「男らしくないからダメだ」って言われれば、私は自分の能力や好きなことを、他の人に役立てられなくなってしまいます。間違った発言をしている側も「男らしく生きるべきだ」などと自分のイメージにとらわれてしまい、自分を苦しめているのではないでしょうか。

 ――日本の政界は男性中心で、問題自体に気付かない土壌があると感じます。

 米国のカマラ・ハリス副大統…

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