宮崎のヒノヒカリ2年連続特A その秘訣は

佐藤修史
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 一般財団法人・日本穀物検定協会(穀検)の「2020年産米の食味ランキング」で、霧島(宮崎県都城市小林市、えびの市、高原町、三股町)と、西北山間(高千穂町、日之影町、五ケ瀬町、美郷町、椎葉村、諸塚村、西米良村)のヒノヒカリが、いずれも2年連続で最高位の「特A」を取得した。流通関係者は「これを追い風に」と、PRや販売に力を入れ始めた。

 食味ランキングは今回で50回目。全国的な知名度があり、販売促進や産地のイメージアップにつながるため、関係者の関心は高い。1989年に特Aが新設されて以降、出品数は増加傾向。今回は44道府県の154産地銘柄が出品され、特Aは53銘柄だった。

 宮崎県からは、3地域のヒノヒカリ、コシヒカリ、おてんとそだちの計5産地銘柄が出品され、霧島と西北山間のヒノヒカリが特Aの評価を得た。県産米が特Aに選ばれたのは15、19年度に続いて3度目。2年連続は初めてで、河野俊嗣知事は「本県初の快挙で、大変喜ばしい。台風や新型コロナの影響で、生産者には多くの苦労があったと思う」などとコメントした。

 県農産園芸課によると、ヒノヒカリは、県総合農業試験場宮崎市)が黄金晴とコシヒカリを交配させ、1979年に開発開始。89年に県が奨励品種に指定し、生産が増えた。温暖な気候で育てやすく、粘りのある食味が特徴。現在、県内の食用米の作付面積1万4300ヘクタールのうち8千ヘクタールをヒノヒカリが占め、多くは県内で消費されている。

 穀検によると、今回は歴史の長いブランド米が苦戦。秋田のあきたこまち、宮城のひとめぼれは特Aを逃した。ヒノヒカリも、鹿児島、大分、高知、岡山、兵庫など西日本の16産地が出品したが、特Aは宮崎の2産地にとどまった。

 霧島と西北山間が2年連続で特Aを獲得した理由について、同課の北崎康生主任技師は「1日の寒暖差が大きい点で沿岸部より有利。生産者がイネの1株あたりの穂数を増やさない工夫を施し、粒の大きい良質米を育んだ」と話す。(佐藤修史)

 ヒノヒカリの生産が盛んなえびの市では、2年連続特Aを祝い、庁舎に「祝 ヒノヒカリ特A獲得!!」の懸垂幕を飾った。畜産農政課の担当者は「『特Aの生産地』という評価があると全然違う。生産者には、まだ田植えもしていない今秋収穫分の予約も入ったと聞く」と話す。

 JAえびの市も「道の駅えびの」に同様の横断幕を掲げた。商品に貼る特Aのシールや、米穀店に置いてもらうPRパネルの制作にも乗り出している。

 えびの産のヒノヒカリは、京都の老舗米販売業「八代目儀兵衛」が主催する「お米番付」でも毎年入賞し、京都や東京・銀座の料亭に提供されている。

 創業約70年の米穀店「ファミリーショップますだ」(宮崎市青島3丁目)では、2年連続の特A獲得を受け、店内を飾り付けた。

 約30年前からえびの産ヒノヒカリの販売に力を入れ、「厳選した農家」から直接買い付けている。店長の増田政浩さん(41)は「連続特Aで仕入れ値が高止まりしそうだから痛し痒(かゆ)しです」と苦笑い。店内で弁当販売も手がけ、「ヒノヒカリは冷めても甘く、おにぎりや弁当にも向いている。このおいしさを伝えていきたい」と話した。