玉串料訴訟の記録「廃棄済み」→「あった」 地裁が一転

亀岡龍太
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 政教分離に関する司法判断で違憲判決という画期的な足跡を残した「愛媛玉串料訴訟」。松山地裁は2日、その事件記録の発見を公表し、原則的に永久保存となる特別保存の対象とする方針を明らかにした。

段ボール2箱に21冊分

 愛媛玉串料訴訟は、愛媛県靖国神社に納めた玉串料などを公費負担したことについて、最高裁大法廷が1997年4月、憲法政教分離原則に違反するとし、二審判決を破棄して原告住民側の逆転判決を言い渡した。目的が宗教的意義を持ち、効果が宗教に対する援助、促進または圧迫、干渉になるとの基準に沿って憲法20条に違反するなどとし、政教分離をめぐるその後の各地の動きに影響を与えた。

 地裁によると、2008年11月7日の日付で「廃棄済み」と記録された事件簿があり、報道機関などの照会には、これをもとに「廃棄済み」と回答していたという。今年3月19日、記録庫を整理していた民事部職員が、段ボール2箱に21冊分の事件記録を発見。最高裁や高裁の記録も含まれるが、全ての記録かどうかは確認中としている。

 地裁の千葉和則所長は「発見された記録は速やかに特別保存の手続きを進めたい」とコメント。地裁は今回の記録について、史料的価値があるとみており、永久的に保存される対応をとるとしている。

原則5年で廃棄だったが

 民事訴訟の事件記録は原則5年で廃棄するが、大法廷がこれまでに違憲判決を下した二十数例などの記録は近年、保存の必要性が指摘されていた。最高裁は一昨年11月、現存する記録の廃棄を当面見合わせるように全国の裁判所に指示するなど新たな対応を模索している。

 高裁と最高裁で原告弁護団長だった西嶋吉光弁護士は「政教分離の原則を厳格に解釈した画期的な最高裁判決になった訴訟。廃棄と聞いた時は極めて残念に思っていた。永久的な保存は歴史的、学術的に意味があり、今後に活用されることを望みます」と話した。(亀岡龍太)