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 各地で祭りが開かれる季節になった。昨年は、新型コロナウイルスの影響で東京都内でも中止や延期を余儀なくされた。再びの感染拡大が懸念される中、今年は通常と違う形で開催しようとする動きも出てきた。歓迎の声の一方で、「3密になる」「応援したくてもお金が出せない」と悩みも聞かれる。2年続けて見合わせる祭りもある。

三社祭 受け止め分かれる

 浅草神社(台東区)は、今年の例大祭「三社祭」を5月15、16の両日に開催することを決めた。ただ、3基ある名物の「宮神輿(みこし)」を担ぐのはやめて、1基のみを台車に載せて氏子町内を巡回させる。

 例年なら5月第3金曜から3日間で、約180万人の人出がある。緊急事態宣言中だった昨年は、10月に延期した上で、宮神輿1基をトラックに積んで回った。浅草神社は「約700年の歴史があり、できるだけ同様の形にしたい」と願うが、一度につき約100人ずつが交代で担ぐ神輿は「密を避けるため、台車に載せて人の歩く速さで巡る」。状況次第では変更も検討するという。

 開催決定に、街の受け止めは微妙だ。ある飲食店主が「少しでも街が活気づけばうれしい」と言えば、ある物販店主は「3月の売り上げは例年の5%に満たず、祭りどころじゃない」。町内会長の1人は「街全体が疲弊する中、祭りへの寄付金などはどこから捻出するのか。神社の一部の役員のみで決まり、相談はなかった」と戸惑いを隠さなかった。

「下町で最も早い夏祭り」は…

 下町で最も早い夏祭りといわれる下谷神社(台東区)の大祭(5月7日~9日)も、山車に神輿を載せて上野や御徒町地区を巡ることにした。隔年で本社神輿を担ぐ「本祭り」は本来は昨年だったが、コロナ禍で延期になっていた。阿部明徳宮司は「今年こそは神輿を、との要望も強い。境内での雅楽やお囃子(はやし)の演奏を取りやめるなど工夫したい」。露店は約100軒に減らし、飲食物は持ち帰りのみの販売になる。

 築地市場に近い波除稲荷(なみよけいなり)神社(中央区)の「つきじ獅子祭」も昨年は中止したが、今年は神輿を台車に載せて街を巡る。(柏木友紀、砂押博雄)

開催やめる祭りも

 開催を見合わせる祭りもある。江戸三大祭りの一つで、隔年で5月に開かれる神田明神(千代田区)の神田祭。東日本大震災があった2011年以来、主な行事を中止し、関係者による神事だけにとどめる。神輿や山車が巡る「神幸祭(しんこうさい)」や、大小約200の神輿が練り歩く「神輿宮入(みこしみやいり)」は大勢の見物客でにぎわう。昨年11月には中止を決め、神社の広報担当者は「仕方ない。感染者が出ることは避けなければならず、安全を第一に考えた」。

 同じく江戸三大祭りの一つ、富岡八幡宮(江東区)の深川八幡祭りも、3年に一度の「本祭り」の中止を決めた。本来は昨年だったが延期、さらに感染の収束が見えず、3月に中止を決めた。今年は「陰祭り」として8月に神職による祭典を行い、次回の本祭りは2023年になるという。

 1513年から続く青梅市の「青梅大祭」は、毎年5月2、3日に行われ、12町の山車が旧青梅街道に繰り出し、延べ約20万人が訪れる。しかし、昨年に続いて中止に。実行委員会総務委員長の森田和芳さん(55)は「年明けに緊急事態宣言が出され、露天商の打ち合わせなど、必要な準備ができなかった」。秋に延期する案も出たが、多数決で決めた。

 地元では市民有志グループが、開催時期に合わせて、大祭の写真やポスターの展示会を企画している。(塩入彩、杉山圭子)