ジンベエザメ、豪快な食べっぷり「餌やり、ありがたい」

沼田千賀子
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 日本海側最大級の水槽を悠々と泳ぐ姿には、貫禄すら漂う。のとじま水族館(石川県七尾市能登島曲町)の人気者は、背中の白い斑点が特徴のジンベエザメ。魚類で最大といわれている。

 同館で展示する2匹は、いずれもオスのスズベエ(体長約5メートル)とナナベエ(同約4・5メートル)。スズベエは2019年10月7日に同県珠洲市沖で、ナナベエは翌8日に富山県氷見市沖で定置網にかかった。

 午前11時の食事タイム。飼育員が柄の長いひしゃくで水面をたたくと、寄ってきた。ひしゃくで餌を水面に流し込むと、大きく口を開けてゆっくりと吸い込む。豪快な食べっぷりだ。体は大きいがおとなしく、食べるのはプランクトンやオキアミなど。水ごと吸い込んで、えらの部分でこしとっているという。

 スズベエとナナベエ、記者には見分けがつかないが、展示飼育係長の籔根哲志さん(48)によれば、性格も異なるという。スズベエは気が強く、定置網から輸送用容器に移すときも体をねじるように回って暴れた。ナナベエは穏やかで、健康観察のための月1回の採血にも協力的という。

 甚兵衛羽織にちなんだネーミングもあって親しみがわく魚だが、分かっていないことも多いようだ。

飼育員は漁師にあいさつ回り、網にかかったら連絡もらう

 水産研究・教育機構水産資源研究所によれば、暖かい海に生息し、記録に残るところでは大きいもので13~14メートルという。長ければ数十年生きるとみられる。1995年に台湾沖で漁獲された約11メートルのメスの体内から、約300のこどもが見つかり、体内で卵が孵化(ふか)すると確認されたという。

 国内で展示しているのは、ここを含め4館だけ。飼育係の平田尚也さん(27)は「1回1回の餌やりすらありがたい。全国でもなかなかできない、やりがいのある仕事です」。

 水槽の深さは6・5メートルあるが、餌を食べるときに体を垂直近くまで立てるため、体長6メートルが飼育の限界という。6メートルに近くなると海に放し、小さめの個体に入れ替えなければならない。石川県富山県の漁師にあいさつ回りをし、網にかかったら連絡をもらう。同館で飼育する個体として、スズベエは9代目、ナナベエは10代目という。(沼田千賀子)