さくらの桜、今年も咲いた あの姉と弟は元気だろうか

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編集委員・大久保真紀
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 神戸市の児童相談所で働いていた石井伸郎さん(62)が、「さくら」に出会ったのは2003年のことだった。

 当時、ある姉弟を担当していた。小学校高学年のしっかり者の姉と、低学年のやんちゃな弟。古い市営住宅で、アルコール依存症の30代の父親と1匹の犬と暮らしていた。小さな雑種犬。それがさくらだった。

 父親は子どもへの愛情はあるものの、いつも酔っ払っていた。酒飲み仲間と引き離すため引っ越しをするよう促しつつ、応じない場合は姉弟を一時保護することも考えた。

 いずれにしても、犬を一緒に連れていくことはできない。あきらめてとお願いしても姉弟は「イヤや」と首を縦に振らない。「じゃあ、犬はおっちゃんが育ててやる。どうや?」。そう言うと、姉が「時々会わせてくれる?」と聞いてきた。「ええで」

 石井さんは、児相には内緒でこっそりと犬を自宅に連れ帰った。家では黒い大型のラブラドル犬を飼っていた。もう1匹ぐらい増えてもいいかと、軽い気持ちだった。

 だが、連れ帰った犬は警戒心…

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