生活保護「却下の可能性」 職員の説明に誤り、市が謝罪

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土屋香乃子
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 生活保護を申請しようと役所を訪れた女性に対し、窓口の職員が誤った理由を並べ立てて申請を受け付けない――。そんな問題が横浜市で表面化し、市が謝罪する事態となった。「私と同じように追い返されて、死んじゃう人だっているかも知れない」。いまは他の自治体で生活保護を受けながら暮らすこの女性が朝日新聞の取材に応じ、経緯を語った。

 女性は20代のAさん。地方都市で生まれ、社会人1年目までを実家で過ごした。「過保護だった」という母親とは折り合いが悪かった。上京してからは連絡をとっていないという。

 Aさんには、ずっと気になっていたことがあった。商談に必要な書類を忘れたり、物を覚えることが苦手でメモが手放せないのに、そのメモも忘れてしまったり――。地元で就職した頃から、仕事のミスが絶えなかった。その度に叱られ、「死にたい」とまで思うこともあった。

 派遣社員として働いていた昨年、Aさんにうつ症状が出た。精神科医に相談すると、自閉症とADHD注意欠陥・多動性障害)の傾向に付随したうつ症状が見られると言われた。これまでの仕事のミスは、病気の影響で起きていたことが初めてわかった。

 派遣の仕事を辞め、体調を見ながら単発のアルバイトをして少しずつ貯金を続けた。病気に加えてコロナ禍による景気悪化も影響し、安定した職を得るのは難しかった。

 「住むところがなくなりそう。貯金もバイトでためた9万円しかない」

 当時住んでいた部屋から出て行かざるをえない事情が生じ、今年2月、困窮者を支援するNPOの職員にツイッターを通じてメッセージを送ると、生活保護の申請をすすめられた。ネットカフェやカプセルホテルに寝泊まりしながら申請の準備を進めた。申請書を事前にウェブサイトから印刷し、記入できることもツイッターで教えてもらった。

 「いってきます」。Aさんはこうツイートして2月22日、横浜市神奈川区役所の生活支援課を訪れた。

 家がなければ、路上生活者向…

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