「地域商社」を立ち上げた茂木町職員・東海林帆さん

平賀拓史
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 「地域商社」を仲間と立ち上げた。栃木県茂木町の一般社団法人「Social Up Motegi」(SUM)。茂木の特産物を掘り起こし、地域資産を磨き、消費者まで届ける仕組み作りを進める。

 メンバーは20~40代の9人。全員が茂木町職員だ。あくまで本業とは切り離し、勤務時間外に活動している。

 東京都出身。大学卒業後、輸入食材を扱う都内の商社に務めたが、外国産食品をめぐる中毒事件が相次ぎ、「日本の食材の可能性を見直したい」と仕事を辞め大学院に入った。耕作放棄地の活用をテーマに研究していたときに訪れたのが茂木町だった。「自然が豊かで住みやすい土地」。それが第一印象だった。

 大学院を修了し、茂木町に就職した。

 2019年、地方創生に関する勉強会を有志で開いた。「役場の中だけでは勉強で学んだことが生かしきれない」と起業の旗を振った。昨年春、非営利団体のSUMを設立した。

 目をつけたのが耕作放棄地で放牧する黒毛和牛。東京に直接出荷しても「栃木県産」としか表示されていなかった。県内の業者が加工や配送までを手がける仕組みを作り、クラウドファンディング(CF)も活用した。「もてぎ放牧黒毛和牛」として売り出した。CFは数週間で目標額の300万円を達成した。

 和牛を味わってもらった食味会では県内のレストランやホテルの料理人が「くさみが少なく、味も良い」と評価してくれた。

 地元の木材を使った積み木や、丸太に火をともす「もてぎトーチ」の販売も手がける。「SUMはアイデア次第で色々なことができる。役場ではあまり関わらない人とのつながりができるのが財産」

 仕事でメンバー同士の予定がなかなかかみ合わないため、SNSを駆使して情報を共有する。活動はまだまだ手探りだ。

 「活動は楽しいことばかりじゃない。それでも、小4の長女が10年後、20年後に『私は茂木出身だよ』と胸を張って言えるような町であってほしいから」(平賀拓史)