思想弾圧事件の生き証人しのぶ 三浦綾子文学館で展示

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本田大次郎
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 戦時中に北海道内で起きた思想弾圧事件「生活図画事件」。その被害者で、昨秋亡くなった松本五郎さん(享年99)の「最後」の講演会用原稿が、三浦綾子記念文学館(北海道旭川市)で公開されている。何度も書き直された原稿には、松本さんの平和への強い思いがあふれ出ている。

 松本さんは、昭和16(1941)年、旭川師範学校(現・北海道教育大旭川校)の学生だった時、突如、治安維持法違反容疑で逮捕された。美術部に所属し、生活のありのままの姿を絵に描く「生活図画」に取り組んでいたことが、共産主義思想と結びつけられた。

 未決囚として旭川刑務所などに1年3カ月投獄され、執行猶予付きの有罪判決を受けた。「生活図画事件」では松本さんを含め、同校と旭川中学校(現・旭川東高校)の美術教師や学生ら26人が検挙された。

 戦後、松本さんは教員を務め、晩年は事件の生き証人として体験を語り続けた。98歳だった2019年5月14日には、東京芸大での講演を予定していた。娘の前谷弘子さん(68)=音更町=は「講演に向け、特に時間をかけて準備していた。体力的にきつく、これが最後の講演と考えていたようだ」と話す。

 講演直前の5月10日、松本…

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