夜の繁華街でイノシシ猛進4キロ 曲がったフェンスの跡

坂田達郎
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 山形市内で3月、1頭のイノシシが夜の繁華街など中心部を駆け抜け、最初の目撃から15分ほどで姿を消した。JR山形駅から目と鼻の先の場所もあり、相次ぐ通報に市や山形県警が捜したが、見つからなかった。

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 山形市によると、3月17日午後10時15分ごろ、同市鉄砲町1丁目の山形西高校の西側で最初の目撃情報があった。その後、十日町、七日町、六日町と北東の方向に進んだとみられる。同30分ごろ、市立第五中学校の南側で目撃されたのを最後に、姿が見えなくなった。最初の目撃場所からは、4キロほど離れていた。

 JR山形駅から約300メートルしか離れていない駐車場のフェンスは、イノシシがぶつかったとみられる衝撃で曲がっていた。近所の男性は「あとで聞いて驚いた」とびっくり。市環境課の担当者は「これだけの中心市街地で目撃されたのは初めて。けが人が出なくてよかった」と話す。

 県内ではイノシシの捕獲頭数が年々増えている。2017年度は888頭だったが、18年度に1575頭、19年度には2002頭となった。同年度の推定生息数は約9200頭に上る。稲やブドウなどの農作物の被害が多く、作物を倒されたり、土が掘り返されて根が食べられたりした。

 県は今年度から5年間の「第2期山形県イノシシ管理計画」を作り、対策を進めている。毎年3200~3700頭を捕獲して、25年度の推定生息数を約1万2200頭にして減少に転じさせるという目標を掲げる。計画には「市街地出没時における対応」という項目も設けており、パトロールや捕獲作業を挙げている。

 野生動物の管理や生態に詳しい山形大農学部の江成広斗教授は「イノシシは繁殖力が強く、密度が高くなっているとみられる」と分析。ヤブ化した河川敷を移動することがあり、河川敷の適切な管理も必要だといい、「動物がパニックになり、人に当たれば危ない。農地への侵入を防ぐ電気柵を設置するなど、エサを与えない対策をしなければならない」と指摘する。(坂田達郎)