池江のラストスパート、監督も驚き 「天才的な能力だ」

木村健一
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 競泳の日本選手権第2日は4日、東京アクアティクスセンターで東京五輪の代表選考会を兼ねて行われ、女子100メートルバタフライでは白血病から復帰した池江璃花子ルネサンス)が3年ぶり4度目の優勝を飾った。57秒77の記録はメドレーリレーメンバーとしての派遣標準記録(57秒92)を上回り、リオデジャネイロ五輪に続く2大会連続の五輪出場が内定した。

 女子400メートル自由形は4分6秒34で制した小堀倭加(わか)(セントラル戸塚)と、0秒02差で2位の難波実夢(MGニッシン)がともに初の五輪切符を手にした。男子100メートル平泳ぎは佐藤翔馬(東京SC)が59秒30で優勝。メドレーリレーメンバーとして五輪代表に内定した。(記録は決勝)

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 「ただいま」

 そんな気持ちで臨んだ100メートルバタフライ決勝で、池江璃花子は優勝した。タイムは57秒77。5年前のリオデジャネイロ五輪代表選考会で出した記録に、0秒06差に迫るものだった。

 二つの反省を生かした。

 3日の予選と準決勝は「ラスト10メートルで腕が回らなくなった」。終盤にペースが落ち、予選は2位、準決勝は3位だった。「前半行きすぎても後半に浮いてしまう。前半は気持ちよく、周りを見ずに自分のペースで泳ごう、と」。決勝は余力を残した。

 もう一つの反省は、折り返しのターンだった。予選も準決勝も、タイミングがずれてタイムをロスした。決勝はスタート直後のドルフィンキックの回数を変えて調整。ターンをぴったり合わせ、うまく後半につないだ。

 2番手で後半に入り、残り25メートル付近でトップに立つ。残り10メートル。残しておいた力で、前日は弱かったキックを力強く蹴った。「最後の踏ん張りがしっかりできた。あとは気持ち」。2位の長谷川涼香に0秒41の差をつけた。

 長く日本代表を率いる平井伯昌監督は、池江のラストスパートに驚いた。「準決勝では最後の2、3かき、腕が上がらなくなっていた。今日は力を抜いて、ひとかきしないで、伸びてタッチしていた」。池江の強さを見てきた。「天才的なところがある。力を出し切る能力。努力と集中力。その能力は一つも変わっていない」

 日本記録は自身が2018年に出した56秒08で、19年の世界選手権優勝者の記録は55秒83と、まだまだ差がある。実戦に復帰して7カ月余りで東京五輪代表をつかみとったが、気を引き締めた。「しっかり優勝できてうれしいけれど、世界と戦えるかといえばそういうタイムではない。高みを目指していきたい」(木村健一)