橋を雑巾がけする人たち、月に1回集結 愛知でなぜ?

松本行弘
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 愛知県岡崎市の市街地を流れる乙(おと)川にかかる橋を、ぞうきんで拭く人たちがいる。どんな人たちが、いったいなぜ?

 橋拭きは毎月第4土曜の午後5時から約1時間。3月は桜城橋(さくらのしろばし)に大人から子供まで約20人が集まった。橋は幅19メートルで歩行者用。路面や欄干が乙川上流の額田地区産のヒノキで覆われている。ぬれぞうきんを絞って、片方の欄干から反対側へ、学校の廊下掃除のように手をついて横切る。勢い余って転ぶ子も。モップで拭く大人もいる。

 「ゴシゴシすると橋に愛着がわきますから」と、主宰者で市内在住の宮川洋一さん(50)は話す。県職員で、長く橋の建設や管理に関わってきた技術者。職員間の勉強会「あいち橋の会」の事務局を務める。

 西三河建設事務所勤務だった時に、桜城橋の200メートルほど下流にある殿橋の補修工事に携わり、「昭和2(1927)年に造られた橋が現役で残っているのはすごい。みんなにも知ってもらうために何かしたかった」。他県で橋を拭いている事例を知り、2019年夏に殿橋の欄干などを拭いてみた。

 昨年3月に開通した桜城橋は車が通らないので拭き作業がしやすい。9月からSNSで参加者を募り、月1回の橋拭きを始めた。ぞうきん持参でやってくる人が少しずつ増え、橋に使ったヒノキ産地の額田地区からの参加もある。

 きれいに汚れを拭き取るというより、ワイワイとイベントを楽しむ雰囲気。作業後に宮川さんが橋のうんちくを語ったり、橋から月を観賞したりする。「負担になってはいけないので、できる範囲でやっていきたい」と宮川さん。息の長い活動にして、いつか長さ121・5メートルの橋に参加者がずらりと並んで一斉にぞうきんをかける光景を夢見ている。(松本行弘)