「あんなインタビュー」と英国民 ハリー王子夫妻に幻滅
英王室のハリー王子(36)とメーガン妃(39)が米CBSテレビに応じたインタビューが波紋を広げている。王室内の人種差別や確執を訴えた夫妻に対し、英国内の受け止めは驚くほど冷ややかだ。伝統に新風を吹き込むと期待された夫妻と王室との溝は決定的で、修復は当面望めそうにない。結婚からたった3年足らず。なぜこんなことになったのか。
3月20日、ロンドン郊外ウィンザー。新型コロナウイルスの流行で、イングランドでは原則外出禁止のロックダウン(都市封鎖)が続いていた。普段は観光客でにぎわう街も、シャッターを下ろした店が目立つ。
中心にそびえるウィンザー城は、2018年5月、ハリー王子とメーガン妃の結婚式の舞台となった。2人の姿を一目見ようと周辺の道路には泊まり込みも含めて人々が殺到した。米国を中心に海外から訪れた人も多く、ホテルは前日から満室が相次いだ。
英国旗を振った人々の熱気は、今となってはウソのようだ。
「あんなインタビューしたからね、この辺りでは誰も2人の話はしないよ。みんな女王のことの方が好きだから」
土産物店で店番をしていた50代の女性が眉をひそめた。「結婚式の日は一晩で街中の関連グッズが売り切れた。あれはありがたかったね。でも今は全然売れない」。結婚式の写真があしらわれたマグカップは売り場の隅っこでほこりをかぶり、9・99ポンド(約1500円)から5・99ポンド(約900円)に値下げされていた。
米著名司会者オプラ・ウィンフリーさんによる夫妻のインタビューは3月7日にまず米国で、8日に英国で放送された。最大の衝撃は、メーガン妃が長男アーチー君(1)を妊娠中に、王室内で「肌の色がどれだけ濃いのかという懸念、やりとりがあった」と暴露したことだった。ハリー王子は放送後、ウィンフリーさんを通じて、発言者がエリザベス女王(94)や女王の夫フィリップ殿下(99)ではないことを強調した。それでも、王室のコアメンバーから人種差別があったと示唆するものに変わりはない。メーガン妃はインタビューでさらに、人種的な懸念から、アーチー君が「王子」の称号を与えられず、警備も付かなかったと考えていることも示した。
米国出身のメーガン妃は、父親が白人、母親がアフリカ系だ。ブラック・ライブズ・マター運動が広がり、奴隷貿易に関わった歴史的「偉人」像の撤去の動きも広がる英国で、人種差別は、これまで以上に許されないものになっている。
にもかかわらず、世論の批判の矛先は王室よりも夫妻に向かっている。
インタビュー放映直後の世論…