新型コロナウイルスの変異株が猛威を振るう欧州で、域内の入国規制が再び強まっている。ロックダウン(都市封鎖)に踏み切っても、変異株による第3波が収束する気配がないためだ。夏の観光シーズンを控え、ワクチンだけが頼みの綱だ。(フォルバック〈仏東部〉=疋田多揚)
2日に一度のコロナ検査
フランス東部、約2万2千人が暮らすフォルバックで先月2日、薬局に長い列ができた。新型コロナウイルスの検査を受けようとする人々だ。
この日、国境を接するドイツに行くには陰性証明書が必要になったためだ。
フォルバックを含むモーゼル県は2月下旬、感染者に占める変異株の割合が8割に達し、ドイツから変異株の流行地域とみなされ、規制強化の対象になった。
同県はドイツとの行き来が盛んで、日常的に国境を越えて働く人は1万6千人、学校に通う子どもたちは2千人に上る。だが、ドイツに渡れるのは、48時間以内の検査で陰性と判明した人だけになった。
ドイツ側のたばこ店で働くアマンディーヌ・ビッケルさん(31)もその一人。国境から勤め先の店までわずか150メートル。この往来のためだけに、2日に1度、検査を受ける。「週1回ならまだわかるが、2日に1回も(鼻に綿棒を突っ込む)痛い検査を受けるのは苦痛だ」と嘆く。
その後も変異株はフランスで感染拡大を続け、ドイツは3月26日、フランス全域からの入国者に陰性証明を課すことを決めた。
移動の自由を掲げる欧州連合(EU)で、国境管理が始まって1年あまり。昨年3月にイタリアとの往来を各国が制限したのを皮切りに、独仏も国境を事実上閉鎖した。感染者が減った夏に各国の規制が緩んだものの、今年に入って変異株が猛威を振るい、再び規制強化にかじを切り始めた。
英国のジョンソン首相は3月…

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