「人類最初の画家」は分野を超える ミケル・バルセロ展

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田中ゑれ奈
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 絵画とは何か、人類はなぜ絵を描くのか。陶芸や彫刻、パフォーマンスなどジャンルを越境しながら芸術の根源に向き合う現代美術家は、あくまで自らを「画家」と呼ぶ。近年、世界的に評価が高まるミケル・バルセロの国内初の大規模個展が、大阪・中之島国立国際美術館で開催中だ。

 「いつまでも『人類最初の画家』として、彼は絵を描き続けている」。画家と親交の深い小林康夫・東京大学名誉教授はそう評する。素材や技法の選択にかかわらず、バルセロにとってはあらゆる表現が「絵画の一形態」なのだ。

 本来なら平面のはずのカンバスを波打たせたり、異素材と組み合わせたりした作品群は、絵画の概念を広げる試みにも見える。巨大なカンバスに絵の具がどろどろと盛り上がる「海のスープ」では、渦の中心にスプーンの柄のような木の棒が突き刺さっている。「下は熱い」では水温の上昇にあえぐ魚たちの顔が、海水面に見立てられた画面から立体的に突き出している。

 バルセロは1957年、スペイン・マジョルカ島に生まれ、25歳にしてドイツの国際展「ドクメンタ」で世界デビュー。故郷の地中海やパリ、アフリカ、ヒマラヤなど世界を旅しながら現地の素材や文化、自然条件に反応し、表現に取り込んできた。

 とりわけ、一瞬にして絵の具を乾かしてしまうアフリカの強風は、新たな制作手法に挑むきっかけとなった。シロアリの虫食い跡や花粉、川の泥を利用した紙作品もその一つ。95年のマリ滞在時に現地の職人に学んだ製陶技術は実用を離れ、後に高さ1メートル超の大型陶器や、ブロック状の粘土を組み合わせる「トーテム」へと展開していく。

 バルセロにとって陶芸は「絵…

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