第3回同じ国なのにモノが届かない 離脱が呼んだ脱英国の機運

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ベルファスト=下司佳代子、ロンドン=和気真也
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誤算 EU離脱後の英国(下)

 英国の一部をなす北アイルランドに、年明けからモノが届きにくくなった。原因は、英ジョンソン政権が欧州連合(EU)からの離脱を完遂するために講じた「最後の一手」にある。犠牲となった地方では怒りの声が高まり、今度は「英国からの離脱」を探る不協和音を奏で始めている。

 「オーガニック食品やチーズ、肉製品の仕入れが難しくなった。これまでは注文から2日で届いていたのが、いまは4週間もかかる」。北アイルランドの中心都市ベルファストで総菜店を営むキーラン・スローンさん(52)は嘆く。

 店で扱う約200種類のチーズのうち、売れ筋の60種類はイングランドスコットランド、ウェールズから海を渡ってアイルランド島へ来る。同じ青カビのチーズでも「英国産でなければ嫌」という客もいるが、いまショーケースに並ぶのは30種類に減った。

 同じ「英国内」なのに、年明けからイングランドなどと北アイルランドの物流には障壁が生まれた。30年来の付き合いがあった業者は北アイルランドに卸さなくなった。そこで、フランスギリシャイタリア産を増やし、アイルランドのダブリン経由で仕入れるルートを開拓。地元の北アイルランド産も増やした。

連合王国としての英国

英国の正式名称は、「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」。独立王国だったスコットランドが1707年にイングランドと統合し、現在はウェールズ、北アイルランドを含む4地域で構成されています。イングランドを除く3地域には1999年以降、自治政府と議会が発足しました。特にスコットランドは、医療、司法、教育など幅広い分野で独自性を持っています。新型コロナウイルス対策なども中央政府とは別に展開しています。

 なぜこんなことが起きているのか。EU離脱のためにジョンソン政権が土壇場でEUと結んだ「約束」に原因がある。

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