池江選手は「驚異的」 医師も驚く白血病からの回復

後藤一也
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 競泳の池江璃花子(りかこ)選手(20)が急性リンパ性白血病からの回復を果たし、東京五輪の代表に内定した。退院から1年半も経たないうちにトップレベルのスイマーに戻ったことに、医療関係者からも驚きの声が上がる。

 急性リンパ性白血病は、白血球が非常に若い段階でがん化してしまう血液のがんで、小児や15~39歳のAYA世代(Adolescent and Young Adult)に比較的多い。

 池江選手は2019年2月に体調を崩し、医師に急性リンパ性白血病と診断された。約10カ月入院し、同年12月に退院した。

 抗がん剤治療中に感染症や臓器の機能障害などの合併症が起きることがある。池江さんの所属先は、合併症が起きたために骨髄移植といった造血幹細胞移植を受けたと発表した。

 一般的に造血幹細胞移植を受けた後は、感染症や免疫反応による合併症が起こることがあり、合併症を防ぐため長期間、外来に通い検査や治療を続けることになる。

 さらに再発することもあり、患者は常に不安を抱えている。症状が落ち着いた「寛解」を5年間維持して、ようやく病気が治ったとみなすことができる。

 移植を受けなくても、薬で筋力が落ちたり、長い入院で全身の体力が低下したりする。大阪国際がんセンター血液内科の多田雄真医師(34)は「退院後、日常生活を送るだけでも体力の衰えを自覚される人が多い」と説明する。

 それでも池江選手のようなAYA世代の治療成績はよくなっており、医療関係者からは「24年のパリ五輪をめざすことは可能」という見方もあった。だが、その予想を大きく上回るスピードで、回復を果たしたことになる。

 多田さんは「これだけの短期間で、アスリートとしてトップレベルまで戻してこられたというのは驚異的。治療中から治療後、退院後の本人のたゆまぬ努力と、それを支えた医療者ら関係者の手厚いサポートがかみ合ったのではないか」と話す。

 ただ、治療をがんばっても亡くなってしまう患者が少なくないのが現状だ。多田さんは大阪国際がんセンター内でAYA世代サポートチームを立ち上げ、若い患者の支援をしている。「池江さんの姿が、これから治療する人、いま治療をがんばっている人の励みになれば」と話す。(後藤一也)