北朝鮮で深刻な食糧不足 主食が高騰、餓死者の情報も

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ソウル=神谷毅
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 新型コロナウイルス流行を防ぐため中朝国境を封鎖している北朝鮮から、食糧不足の深刻さを伝える情報が増えている。国境封鎖の影響は食糧以外の生活物資にも及び、住民の不満は高まっているようだ。

 韓国の情報機関、国家情報院が2月中旬に国会に行った報告によると、北朝鮮の昨年の穀物生産量は440万トンだった。需要量550万トンと比べると、100万トン余りが不足するとみられる。不足量は例年とほぼ同じ水準だが、これまで中国から輸入や密輸、支援の形で入ってきた穀物の量が激減し、数字以上に厳しい状況に陥っているようだ。

 北朝鮮の内部と連絡を取り合う複数の脱北者によると、コメは不足がちだが、当局の統制で価格は比較的安定している。しかし、平壌近郊のある町では、北朝鮮で主食といえるトウモロコシの価格が今年に入って急騰。3月の価格が昨年の平均と比べて約3割上がっているという。

 昨年の水害でトウモロコシの収穫量は減った。さらに、中国からの輸入に依存していた砂糖が国境封鎖のために極端に不足し、トウモロコシが甘味料の代替材料に使われていることも値上がりの原因という。この脱北者は「トウモロコシの価格が上がると、暮らしへの影響は大きい」と心配する。

 春の農作業の時期を迎えているが、農業用の機械や資材が足りず思うように進んでいないようだ。脱北者の一人によると、北朝鮮中部のある地域からの情報では、必要な量に対して肥料は約7割、農業用のビニールは約6割も足りていない。農業用の動力として欠かせない牛も、えさが足りず死ぬ例が相次いでいるという。

 現地の住民はこの脱北者に、「これほど資材が不足したことは近年なかった。食べるものがなく、協同農場に出勤できない農民も多い。都市部も厳しく、内陸部では餓死者も出ている」と伝えたという。

 不足しているのは食糧にとどまらない。平壌のロシア大使館は1日、フェイスブックで、首都でも医薬品を含む必需品の不足が深刻で、駐在する各国の外交官や国際機関の職員が相次いで国外に避難していると明らかにした。

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